2.熱帯等の不安定環境下における農作物等の生産性向上・安定生産技術の開発

課題名 2.熱帯等の不安定環境下における農作物等の生産性向上・安定生産技術の開発
課題番号 2015027920
研究機関名 国際農林水産業研究センター
協力分担関係 (国立研究開発法人)農業・食品産業技術総合研究機構
中央農研センター
(国立研究開発法人)農業生物資源研 究所
秋田県立大学
新潟大学
京都大学
理化学研究所
東京大学
かずさDNA研究所
鹿児島大学
東京農大
研究期間 2011-2015
年度 2015
摘要 陸稲品種NERICA1等の現地普及品種へ、窒素吸収促進遺伝子(qRL6.1)の交配での導入を進めた。NERICA1にqRL6.1を導入 した系統では、つくばの畑地条件で親品種と出穂日に大きな差はなく、地上部乾物重、穂の重量が有意に高いものが得られ、少なくともNERICA1に対してはqRL6.1が生産性を向上させる効果を発揮できることを明らかにした。リン酸欠乏耐性遺伝子を利用した品種改良 では、陸稲品種NERICA4にPup1を導入した系統は、タンザニアの畑圃場で、親品種より優れた収量性を示した。簡易な水路等補強工法 の適用範囲、設置維持管理費用、耐用年数について検討を行うとともに、これらを含め工法の利用に当たってのマニュアル(案)を作成した。ガーナの未利用低湿地に稲作を導入するため、様々な品種・系統27種類を現地で栽培し、環境適応性の高い4品種・系統(ガ ーナにおける在来品種のAmankwatia、Bodia、Sakai及び日本-IRRI共同プロジェクト研究育成系統のIRBL9-W [RL])を選抜した。アフ リカ稲作振興のための共同体(CARD)への貢献をより強く打ち出すため、開発された技術の受益者、及びどのような環境・社会条件に適した技術であるかを明確にして、成果普及のための実用的なガイドラインとなる対応表を作成した。
イネいもち病の判別システムの利用とアジアの現地イネ品種の抵抗性改良の状況を整理した。日本のイネいもち病菌レースは地域により異なるタイプが分布しており、他のアジア、アフリカの熱帯地域とは異なり、イネ品種(抵抗性遺伝子)およびいもち病菌レースの遺伝的多様性は低いことを明らかにした。リン酸欠乏耐性遺伝子 (Pup1)に関し、精度の良い、対立遺伝子特異的な選抜マーカーを開 発した。リンの利用効率(PUE)に関する新しい遺伝子座を同定し、その遺伝子座の供与体となる有望系統の選抜に成功した。
アブシジン酸(ABA)は、乾燥ストレスを受けると葉に蓄積するが、シロイヌナズナの環境ストレス応答に関わる7つのSNAC-A遺伝子は、ABAによって誘導される黄化関連遺伝子の発現を調節しており、長期の乾燥による葉の黄化において重要な役割をもつことを解明し た。SNAC-A遺伝子についての成果を論文化、プレスリリースした。さらに、植物の葉緑体の発達を制御する転写因子(GLK1、GLK2転写因子)が、葉表面の気孔の閉じ具合を調整し、オゾン耐性に関わることを明らかにした。これらの転写因子を用いて適切に気孔開閉を調節することができれば、大気汚染耐性や干ばつ耐性などの環境ストレスに強い作物の開発に貢献することが期待される。GLK1、GLK2転写因子に関する成果を論文化、プレスリリースした。ブラジルのダイズ品種に低いコピー数で遺伝子導入できるアグロバクテリウムを用いた遺伝子組換え技術を確立し、シロイヌナズナAREB1転写因子の遺伝子をブラジルのダイズ品種に導入すると、温室条件下で乾 燥耐性を示した。
パラグアイでの抵抗性品種育成では、Aurora等2品種を反復親とした戻し交配育種により、それぞれ6系統、4系統のBC5F2系統の育成を完了した。来年度の品種登録出願に向け、マルチロケーションテストを実施中である。耐塩性遺伝子(Ncl )については、成果を論文化、プレスリリースした。
ギニアヤム(Dioscorea rotundata)の全ゲノム解読を完了し、近年ゲノム解読が終了した他の作物と比較して遜色ない結果を得た。こ れにより、ヤムにおいても最先端のゲノム情報が利用できるようになった。単純反復配列(SSR)領域を増幅する90個のマーカーを開 発した。本マーカーは、アフリカで栽培されている6種のヤム遺伝資源で高い汎用性を示し、系統関係や多様性の評価に適する。イモ 肥大の早晩性及びイモ品質関連形質の評価指標、イモ澱粉の簡易抽出法、アミロース含有量測定法等、イモに関する形質評価技術の開発が進んだ。
ササゲについては、ナイジェリア南部・北部の19市場における価格調査の3年間のデータ収集が完了した。ナイジェリア市場の嗜好性 を探ることを目的とし、主要流通品種(計23)の基礎的農業特性と子実の窒素含有量を分析した。西アフリカにおけるササゲの品質向上および付加価値化の促進に向け、ササゲ遺伝資源の子実品質関連形質に関する科学的情報を、検索機能付きデータベースとして公開準備を終えた。
パッションフルーツ新品種候補系統の石垣における3年間の栽培評価試験結果をとりまとめ、品種登録出願を行った。
選抜した多様性解析用SSRマーカーを用い、タイのエリアンサス遺伝資源150系統の遺伝的多様性解析を行なった。併せて、これらの遺伝資源の形態形質や、農業特性のデータベースを作成し、エリアンサス遺伝資源の形態形質評価基準(ディスクリプタリスト)をカタログ様式にとりまとめた。
白葉病感染拡大リスク評価のためのシミュレーションモデルを開発した。リスク評価の結果、健全種茎を大面積の圃場で栽培すると、圃場の内部は白葉病の侵入リスクが低下し、白葉病発生地域内であっても健全種茎を大量生産できる可能性があることが明らかになった。タイで品種登録した3品種TPJ03-452、TPJ04-713、TPJ04-768について、プレスリリースした。
カテゴリ 育種 遺伝資源 いもち病 乾燥 くり 新品種 データベース 抵抗性 抵抗性遺伝子 抵抗性品種 パッションフルーツ 評価基準 評価法 品種 品種改良 陸稲

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