課題名 | 米粉等加工用・業務用水稲品種の育成及び米の未利用成分利用技術の開発 |
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課題番号 | 2015027768 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
協力分担関係 |
(国)農業生物資源研究所 (国)国際農林水産業研究センター 広島県立総合技術研究所 JA全農ひろしま 広島県酒造協同組合 富山県農林水産総合技術センター 福井農試 三重県農業研究所 福山大 築野食品工業(株) |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2015 |
摘要 | 米粉パンなどの新規需要用品種の育成に関しては、 a) アミロース含有率が27%程度で製麺適性が高く多収の「中国215号」は、岡山県等で米粉麺用として普及の見通しが立ったため品種登録出願することとした。 b) 餅硬化性が低く、和菓子への加工適性が高く多収の「北陸糯236号」は、広島県で糯粉の原料として普及の見通しが立ったことから品種登録出願することとした。 c) アミロペクチン超長鎖米品種「こなゆきの舞」は「コシヒカリ」と比較して血糖値上昇の指標であるGI値を低下させることを明ら かにしたが、難消化性デンプンの上昇には米飯を加熱後40~60分静置する必要があるという実用場面で課題を明確にした。 耐病性、収量性、直播適性、高温耐性及び二毛作適性を備えた業務用品種の育成に関しては、 a) 穂ばらみ期耐冷性が強く、多収で良食味の「雪ごぜん」は、北海道内で業務用米として普及の見通しが立ったことから限定普及候 補とした。多収の低アミロース米系統「北海324号」は、ブレンド米等への普及の見通しが立ったことから品種登録出願することとし た。「あきたこまち」熟期で多収の極良食味系統「北陸255号」は、新潟県内で普及の見通しが立ったことから品種登録出願(限定普 及)することとした。 b) 縞葉枯病抵抗性で二毛作向け、多収良食味の権利保護品種「ほしみのり」は、栃木県内、静岡県内で普及の見通しが立ったことか ら、限定普及候補とした。 このほか、 a) 高温登熟性に優れる水稲品種を育成するため、東北地域を対象とした高温耐性検定基準品種を東北各県と協力して選定した。 100%米粉や玄米全粒粉等の米粉パン等への利用技術を開発に関しては、 a) 加工ラインに適する条件(製粉条件等)を明らかにすることによって「ゆめふわり」の米粉パン商品化に至った。 b) 米麹やプロテアーゼを用いた100%米粉パンの商品化をめざした「試食アンケート調査」を行い、硬さと香りについて食味を改善する必要があることを明らかにした。 c) 水浸漬した玄米より調整した玄米粉を用いて機能性成分含量の高い米粉パンや米菓などの加工品製造を可能とする発芽処理条件を 明らかにした。 d) 易糊化性遺伝子を持つ系統の米を用いて製造した団子の食味は、冷凍解凍後や再度冷蔵後でも原品種の米より優れることを明らか にした。さらに、実需からは、このような特性を持った米の高い評価と利用に関する要望を得た。 e) 高アミロース米「北瑞穂」の米粉を用いると、低濃度でもゼリー状となり、糯や中アミロースの米粉のゲルとは異なる3日間の冷蔵でも物性変化の少ないゲルが形成可能なことを明らかにし、嚥下食にも応用可能であることを示唆した。 米ぬか等の未利用機能を活用した加工利用技術を開発に関しては、 a) 高ビタミンE食品加工に利用可能なトコトリエノール高含有系統「富山82号」の特性を明らかにし開発を進めた。 b) 品質劣化の少ない米油加工技術開発のため、リパーゼ活性が低下した多収系統を開発するとともに貯蔵性向上のためホスホリパー ゼDとリポキシゲナーゼがともに欠失した後代を作出した。 |
カテゴリ | 加工 加工適性 機能性成分 高温耐性 縞葉枯病 水田 水稲 多収良食味 抵抗性 二毛作 品種 良食味 輪作 |