2-(3)養殖業の発展のための研究開発

課題名 2-(3)養殖業の発展のための研究開発
研究機関名 国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所
養殖部門シラスウナギ生産部 基盤グループ
養殖部門シラスウナギ生産部 量産グループ
養殖部門まぐろ養殖部 種苗量産グループ
養殖部門まぐろ養殖部 成熟制御グループ
養殖部門育種部 育種基盤グループ
養殖部門育種部 系統開発グループ
養殖部門生産技術部 技術開発第1グループ
養殖部門生産技術部 技術開発第2グループ
養殖部門生産技術部 技術開発第3グループ
養殖部門生産技術部 技術開発第5グループ
養殖部門生理機能部 飼餌料グループ
養殖部門生理機能部 繁殖生理グループ
養殖部門病理部 診断グループ
養殖部門病理部 病原体グループ
養殖部門病理部 免疫グループ
環境・応用部門沿岸生態システム部 亜寒帯浅海域グループ
環境・応用部門沿岸生態システム部 温帯浅海域第1グループ
環境・応用部門水産工学部 漁業生産工学グループ
国立研究開発法人水産研究・教育機構 開発調査センター 養殖システムグループ
国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産資源研究所 水産資源研究センター生命情報解析部
協力分担関係 東京海洋大学
愛媛県農林水産研究所
東京大学
静岡県水産・海洋技術研究所
(地独)北海道立総合研究機構
栃木県水産試験場
近畿大学
(国研)理化学研究所
マルハニチロ(株)
(一社)マリノフォーラム21
研究期間 2016-2020
年度 2020
摘要 ・クロマグロでは、人工種苗を継代した3歳魚の成熟・産卵には、成熟期の親魚の栄養状態、すなわち成熟期における十分な給餌が極めて重要であることを栄養状態の解析等から明らかにした。さらに、これら基礎的知見をもとに、従来の飽食給餌と比較して6割程度給餌量を削減した低コストかつ効率的な親魚養成・受精卵供給システムを開発した。併せて、多層の人工ニューラルネットワークによる機械学習手法である深層学習を用いて、産卵直後の卵がふ化するか否かを高精度に予測する技術を開発した。
・ニホンウナギでは、高活性なウナギ組換え生殖腺刺激ホルモンの効率的な生産方法を確立するとともに、良質な受精卵、ふ化仔魚を得るための催熟及び人工授精方法を開発した。新規量産水槽を用いたシラスウナギの量産実証試験を行い、1ロット(単位製造数)のふ化仔魚からこれまでに最も多い4,465尾のシラスウナギを低コストで生産した。人工シラスウナギを養殖開始時に通常飼料に餌付かせるための適切な方法を開発した。
・従来のサメ卵飼料に替わる持続的に供給可能な原料によるウナギ仔魚用飼料を開発した。
・愛知県水産試験場と宮崎県水産試験場へ親魚の催熟、採卵及びふ化仔魚管理技術を移転した。
・寄生虫であるハダムシに感染し難いハダムシ抵抗性家系ブリについて、18家系の次世代を作成してハダムシ感染試験を行い、次世代も寄生数が少なく抵抗性があることを確認した。
・赤潮抵抗性への育種を目的として、赤潮原因藻(シャットネラ)に対するブリ稚魚の曝露試験を行い、家系により生残率が異なることを明らかにした。
・支柱式及び浮き流し式養殖並びに野外培養を実施し、育種素材の高水温耐性を調査するとともに、優良個体を選抜した。これらの方法で栽培した選抜株について、摘採サイズに生長した葉状体を材料に遊離アミノ酸を分析し、食味の評価を行った。また、未調査の派生株等については、室内培養で高水温耐性を調査し、一部の派生株で高水温耐性が確認された。
・腹部膨張、眼球突出等の感染症を引き起こすレンサ球菌及び大きな養殖被害を及ぼすエドワジエラ症の両疾病について抵抗性を持つヒラメ家系について、第3世代を用いて養殖場での実証試験を行ったところ成長停滞が認められたため、別の天然由来選抜個体群との交配群を作成した。今後、成長及び疾病抵抗性を指標とする選抜を行う。本ヒラメ家系の知財化については、将来の利用や実用化の障害となる可能性があることから断念し、本家系依存の疾病抵抗性関連SNP(1塩基多型)など科学的知見の収集を行った。また、ヒラメの細菌性疾病抵抗性系統について、種苗生産現場で量産規模の実証試験を実施した。
・遺伝子変異の導入や組換え等を起こさせる標的遺伝子の発現を特異的に阻止するアンチセンスモルフォリノオリゴを用いる方法について、受精卵への顕微注入法よりも簡易な浸漬法で生殖細胞が減少することを確認した。またゲノム編集法について、100塩基対程度を欠失させることで生殖細胞を持たない不妊化魚が効率良く得られることを確認した。
・筋肉や皮下脂肪組織に潰瘍や結節、脾臓等に粟粒状の多数の結節が認められるノカルジア症について、ブリの白血球におけるインターフェロンγの産生能がノカルジア症に対する感染抵抗性を反映している可能性を示し、インターフェロンγを添加したワクチンを開発してその有効性を確認中である。
・口中やあご周辺が皮下出血で赤くなる等の細菌性の感染症であるレッドマウス病の国内の初発株と非病原性株の比較ゲノム解析を行い、既報の病原遺伝子情報を基に病原性株と非病原性株を識別可能なPCR法を開発した。
・アコヤガイ不明病が感染症であることの確認、伝染性皮下造血器壊死症のDNAワクチン有効性の確認、アユの尾柄周辺等が欠損するアユ冷水病菌を17種類に分ける検出法の開発、ニジマスの皮膚炎であるラッシュ症及び鰓薄板内の毛細血管の出血等が見られるウナギ板状出血症の病原体の推定、マグロに対するレンサ球菌症ワクチンの有効性の確認など、難疾病の原因解明と防除技術の開発・普及を行った。また、脊髄骨等が弯曲するブリ側弯症の原因究明に着手した。防疫に関する活動として、都道府県の依頼を受けて特定疾病の確定診断を行い、また都道府県の職員に対する診断技能検査を行った。さらに、沖縄で発生した特定疾病である甲殻類の急性肝膵臓壊死症(AHPND)について確定診断を実施した。
・筋肉に微胞子虫が感染し、筋組織が融解して体表が凸凹になる等の疾病であるブリのべこ病検出法及び治療薬投与法について防除マニュアルを作成した。
・ブリのウイルス性腹水症について親魚及び種苗計89個体を検査した結果、親魚6個体中3個体が陽性、種苗は全て陰性であった。北海道の増殖対象さけます類調査について、サクラマスでは6河川(390個体)のうち2河川から口部の上皮腫等を引き起こすサケヘルペスウイルス2保有魚を計9個体検出し、また腹部膨満、体色黒化等でヒラメ稚魚等の病死を引き起こすアクアレオウイルスA型保有魚を1個体検出した。サケでは4河川(260個体)、カラフトマスでは2河川(130個体)、ベニザケでは1河川(65個体)で調査し親魚は全て不検出であった。このほかにサケ3河川(193個体)の親魚を分析した。
・アクアレオウイルスについて、令和元年度に作成した対策マニュアルに基づいて各県へ指導を行い、被害軽減につなげた。アワビ筋萎縮症とアコヤガイ赤変病についてPCR診断法を公表した。また、アワビ筋萎縮症の防除法を指導し、被害を軽減した。
・国際獣疫事務局(OIE)の参照研究室(Reference Laboratory)として、該当疾病の診断用陽性対照試料の配布や研究施設のISO(国際標準化機構)認証更新を行った。またOIEの地域委員会(ad hoc committee)に出席した。
・数種の魚粉代替原料を用いてマダイ稚魚の飼育試験を行い、各原料の消化吸収率、アミノ酸利用率といった利用特性、各原料を摂取した魚の消化酵素分泌や肝臓代謝産物等の生理反応を明らかにし、飼料組成決定に必要な特性に関する知見を得た。令和元年度までに実施した低魚粉飼料を用いた実証試験の結果を取りまとめ、成長が良い高水温期には低魚粉飼料を用い、成長が停滞する低水温期には通常飼料を用いることで、ブリの養殖コストを10%前後削減できることを確認した。
・新たな魚粉代替飼料原料の候補として水素細菌を調べた結果、菌体のアミノ酸バランスは魚粉に近く良好であり、また菌体を加えた試験飼料でマダイ稚魚を飼育すると、粗タンパク質の消化吸収率は低下するものの成長することが確認され、水素細菌が新たなタンパク質原料として利用できる可能性が示された。
・マダイ膵臓抽出物を用いた人工消化系試験により、トリプシンよりもキモトリプシンにより消化されやすい性質が飼料原料にとって好適であることが示された。16種類の飼料原料等について両酵素による消化性を検討した結果、凍結乾燥魚筋肉と魚粉が原料として適していることが示唆された。
・マダコの種苗生産について着底期までの生残率が90%以上となる極めて高い歩留まりで飼育することに成功した。また、ふ化直後のガザミゾエアや養成アルテミアが餌料として有効であることを示し、マダコ飼育の大きな問題であった生物餌料の安定確保を可能とした。さらに、個別の養殖容器で飼育を行うことで、約10か月で1kg以上のマダコを養殖することに成功した。
・スジアラの色揚げ試験では、2種類のアスタキサンチン粉末を添着させた飼料の給餌試験を行い、ヘマトコッカス藻由来のアスタキサンチンがパラコッカス菌由来のものより低濃度でも色揚げ効果が高いことを明らかにした。
・タイラギについて、中間育成では、高水温期に筏垂下式及び陸上水路式で管理することにより高い生残と成長(殻長5~8cm程度)が得られること、また殻長20cm程度までの養殖では、潜砂基質を入れた養殖容器を海底に設置して飼育する方法が有効であることを明らかにした。
〔アウトカム〕
・全国クロマグロ養殖連絡協議会技術部会等を通じて、得られた成果や水産研究・教育機構の取り組みを養殖生産者に情報発信・技術普及することで、天然種苗から人工種苗への転換促進に大きく寄与した。また現地実証試験として、養殖業者等の量産水槽を用いた種苗生産試験(5件)、養殖業者の海面生簀を用いた早期種苗の養殖試験(2件)を実施した。
・生産した人工シラスウナギを活用し、鹿児島県水産技術開発センター等で養殖試験を実施した。
・共同研究機関である愛知県水産試験場漁業生産研究所、岡山県農林水産総合センター水産研究所、福岡県水産海洋技術センター有明海研究所及び熊本県水産研究センターが、この課題で得られた高水温耐性育種素材(ノリ)の実証試験を実施した。
・この課題で開発したべこ病の治療薬が、国の認可を受けた。
・アクアレオウイルスやアワビ筋萎縮症の防除法を、各都道府県へ技術提供・指導することで被害を軽減した。
・研究成果がマスコミ報道や各種研修会等で紹介されマダコ養殖の可能性が広く認知され、民間企業等への技術普及など社会実装に向けた協議に発展した。
・タイラギの生産技術について、県へ現地技術指導(計4回)及び施設見学受入れ(合計16名)を行い、また、タイラギ人工種苗を4県が実施する有明海漁業振興技術開発事業に供試し漁場造成等の事業の実施に大きく貢献した。
・アコヤガイ不明病の研究成果が、農林水産省消費安全局の通知に活用された。また、特定疾病AHPNDの発生時には、専門家委員会の議長として防疫体制構築を図るなど、国の行政に大きく貢献した。
カテゴリ 育種 乾燥 管理技術 コスト 抵抗性 低コスト 防除 良食味

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる