林木の生長・分化の制御に関与する細胞壁等因子の解析と機能解明

課題名 林木の生長・分化の制御に関与する細胞壁等因子の解析と機能解明
課題番号 2001001168
研究機関名 独立行政法人森林総合研究所
研究分担 森林総合研究所 樹木化学領域 樹木生化学研究室
協力分担関係 京都大学木質科学研究所
名古屋大学
岡崎国立共同研究機構
研究期間 新規2001~2005
年度 2001
摘要 1.当年度の研究目的  林木の成長は形成層組織で分裂した細胞が伸長成長と分化(肥厚・木化)する2段階からなる。これらの過程において細胞壁が成長調節に深く係わっている。成長中の植物細胞壁の構造と機能を解明するため、1)細胞壁の主要な構成成分であるペクチンの高感度検出法の開発を行うとともに、2)細胞壁中に局在する植物の必須微量元素であるホウ素の機能解明を行った。また、3)ペクチン側鎖であるガラクタンとアラビナンの分解酵素について調べる。 2.当年度の試験研究方法と成果 1)糖鎖の高感度検出法の開発に関する研究 成長中の細胞壁は90%以上が多糖類からできている。タンパク質や核酸と異なり、糖質はUV吸収や蛍光を持たないので、高感度で検出することが難しい。ペクチンを高感度で検出するため、還元末端を蛍光標識する方法について検討した。重合度1-10のガラクツロン酸オリゴ糖を90%以上の高収率で蛍光標識することができた。2AB化オリゴガラクツロン酸の構造をNMRにより完全解析して、NMRスペクトルのデータベースを構築した。 2)組織形成に関与するRG-II-ホウ素複合体の構造と機能解析 細胞壁中でのホウ素の機能を解明するため、ホウ素欠乏した植物組織での細胞壁の構造変化を解析した。本年度はホウ素欠乏した植物体の栽培法の確立とホウ素欠乏した植物体中でのラムノガラクツロナンII(RG-II)の化学形態について調べ、ホウ素の化学形態は木本植物と草本植物で同一であるため、ここでは種子が大量に入手でき、栽培しやすいカボチャを用いた。カボチャ種子をホウ素(B)を含むHoagland培地(B(+))とホウ素を含まないHoagland培地(B(-))で水耕栽培した。ガラス器具等に由来するホウ素の混入を除去するため、ホウ素を選択的に吸着するイオン交換樹脂(IRA743)を加えた。これにより、培地中のホウ素の混入を最小限にすることが可能になり、ホウ素欠乏した植物体を安定的に栽培できる。B(+)とB(-)のカボチャの葉と細胞壁に含まれるBを定量した。Bが十分に供給されると、葉や細胞壁は40-90μg/gのBを含むが、Bが欠乏すると葉に含まれるBは細胞壁に局在した。B(+)の細胞壁ではRG-IIは80%以上がホウ素-ラムノガラクツロナンII複合体(dRG-II-Bと略)として存在した。一方、B(-)の細胞壁ではdRG-II-Bの割合は10-35%であった。B(+)とB(-)の組織を光学顕微鏡により観察したところ、B(-)の細胞壁はB(+)1/3 3)ペクチン分解酵素に関する研究 細胞伸長に伴ってペクチン多糖の1つであるガラクタンの分解が顕著に起きていることが判明したので、ガラクタン分解に関与する酵素の精製を行った。ギンドロ培養細胞の細胞壁から調製した粗酵素をイオン交換クロマトグラフィーにより分離したところ、数本のガラクタン分解活性のピークに分離できたが、完全な精製には至らなかった。
カテゴリ かぼちゃ 水耕栽培 データベース

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる