課題名 | a.地域の条件を活かした水田・畑輪作を主体とする農業経営の発展方式の解明 |
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課題番号 | 2006008461 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター 農業経営研究チーム 農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター 異業種連携研究チーム 農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター 北海道農業経営研究チーム 農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター 地域営農・流通システム研究チーム 農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター 東北地域活性化研究チーム |
協力分担関係 |
岩見沢市産業経済課 (社)地域農業研究所 有限会社 十勝野フロマージュ 北海道キャタピラー三菱建機販売株式会社 大分県農林水産研究センター・水田農業研究所 |
研究期間 | 新規2006-2010 |
年度 | 2006 |
摘要 | 水田・畑輪作を主体とする農業経営の発展を図るために各地域の条件に合わせた取り組みがなされた。北海道においては、(1)農林業センサスデータの分析から、北海道の水田地帯では畑作、酪農地帯に比較して農家数減少率が高く、今後も大規模な離農が発生し、これに伴う農地供給増大が予測されるなど、担い手の動向を解明した。(2)水田地帯の法人化先進事例を調査し、法人参加希望者の経済状況の相互公開、営農計画の事前シミュレーション等、農協による法人化の合意形成に有効な支援策を明らかにした。(3)小規模な工房製チーズの流通を担っている業者への調査を行い、粗利率、回転率が低い等の問題点を摘出し、さらに、消費者の購買行動の分析から、工房製チーズの販売促進には土産物店や物産展等の販売チャネルと店頭プロモーションの強化が有効であることを解明した。(4)自宅から遠い距離にある第2拠点の設定や自作地を含む利用権再設定による大規模水田経営の農地団地化手順を解明した。(5)北海道内にある専門卸売業者等を核とする複数ブロック型産業クラスターの道外展開における総合商社の重要性を解明した。(6)建設機械装着型の切り返し機を基幹技術とした通年堆肥化システムの効果と導入条件を解明した。東北地域においては、(1)東北地域の担い手の動向に関して、農家の家計費と農外賃金との関係をみると、統計上では農業所得と農外賃金を合算して家計費がまかなえる水準にあるが、内容をみると、50歳代を境に、就業形態とも関係して、それ以上層は農業所得依存型であり、以下層は農外賃金依存型という構造が明らかとなり、現在農業を支えている50歳代以上層の世代のリタイアを機に農地の貸し出しが増加し、土地利用型の担い手農家への集積が加速する可能性がある。(2)米政策改革等に対応して地域農業を再構築するため、集落農業ビジョンの策定等先進的な農業を展開している岩手県花巻地域を対象事例として、東北型水田農業モデルの策定と実現のための施策および大豆湿害対策に係る技術を解明した。(3)農外企業における農業への参入意欲は、建設業、食品産業を中心に強く存在する。農業参入は、施設園芸などを主体とするものが多く、業種によって参入条件、支援方策が異なる傾向があること、さらに土地利用型の農業参入では地域への対応(むら仕事的な了解)が必要になることを明らかにした。(4)統計資料解析に基づいて東北地域農産物の需給状況を把握するとともに、多くの住民が参加する生協で、有効な情報源として設けている「組合員の声」を消費者ニーズの把握手段として活用する方策(データマイニング手法)を検討した。(5)地域活性化活動の推進要因や活動のパターンについて、農村女性起業を起業形態の視点から、加工販売中心、複数事業実施、中高年者多数参加といった3類型に整理し、各類型の実在根拠を解明した。関東・東海・北陸地域においては、(1)様々なタイプの経営継承・事業継承事例に関する聴き取り調査を実施し、そこでのマネジメントの特徴や、地域支援体制のあり方を整理するとともに、それらをパンフレットとして取り纏め、刊行した。(2)経営改善計画書や決算書などの営農記録から、それらを利益計画や財務分析へとつなげるためのデータ整備を進めるとともに、すでに構築している経営診断システムを改良し、経営計画に応じて経営収支、月別キャッシュフロー、財務指標等の推計等が行える意思決定支援システムを開発した。(3)地域の多様な農家行動および経営行動をモデル化し、それらタイプ別の農地貸し付けや借地拡大の予測を行うとともに、併せて、米麦大規模経営や大規模野菜作複合経営との経営間連携システムの策定による地域水田農業ビジョン等の施策評価手法のプロトタイプモデルを構築した。近畿・中国・四国地域においては、(1)統計データ等の分析により高齢者営農の地域差は特産品の開発や販売活動の取り組み等の違いにより生まれていること、農家世帯員(夫)の農業就業選択には経営規模等が影響すること、またアンケート調査により中山間地域の担い手農家の稲作行動は生活原理に基づくことを確認した。(2)法人化した集落営農の実態調査を行い、園芸作導入による多角化において責任者を確保・養成し、グループ化等による女性の主体的な参画を促すことが重要な条件になることを示し、集落営農の展開に当たって販売活動強化、多角化目的に応じた営農計画策定、広域的営農システム形成の側面での経営管理支援の重要性を指摘した。(3)園芸作新規参入経営における経営管理対応のプロセスを検討し、新規参入者は被雇用者と栽培管理等の一部を分担しつつ経営者機能が高まることを明らかにし、新規参入による創設経営の支援方策における改善課題として、適時の支援提供、支援者と新規参入者間での共通理解の形成、支援水準の継続性の確保を指摘した。(4)小規模大豆産地の取り組みについて調査を行い、加工業者との取引形成を通じた実需活用により、豆腐製造による付加価値が産地へ還元され、産地の安定化が実現できることを示した。九州地域においては、(1)九州地域の農業法人を対象にしたアンケート調査を実施した結果、契約取引は84.6%の法人が実施する等積極的に取り組まれていること、連携先は他の農業法人、研究機関・大学、食品企業等多様であり生産物だけでなく技術やノウハウに関する連携が多く行われていることを明らかにした。(2)大豆生産者と実需者の認識の違いを解明するため、九州北部の大豆生産組合のオペレータ、役員と豆腐メーカーに対しアンケートを実施した結果、実需者は生産者より生産量の安定について重視し、逆に生産者は実需者よりも外観品質を重視しているなど具体的に認識の違う項目を明らかにした。(3)黒大豆新品種の産地形成と新たな豆腐商品開発を結びつける連携コンソーシアム形成に向け、生産者団体、豆腐メーカー、行政、試験研究機関との共同推進体制を組織した。また、こだわりの豆腐を製造しようとするメーカーは原料探索や産地育成に積極的であり、すべてのプロセスを通じて製品開発に一貫した「ストーリー」を求めていることが明らかになった。 |
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