課題名 | b.大豆の湿害耐性等重要形質の改良のための生理の解明 |
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課題番号 | 200709540 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
農業・食品産業技術総合研究機構,作物研,大豆生理研究チーム 農業・食品産業技術総合研究機構,東北研,大豆生理研究チーム |
協力分担関係 |
九州大学 北海道大学 北海道大学・創成科学共同研究機構 東京大学・分子細胞生物学研究所 京都府立大学・京都府農業資源センター 首都大学東京 岡山県生物科学総合研究所 三菱スペースソフトウエア(株) メッセンジャースケープ(株) |
研究期間 | 2006-2010 |
年度 | 2007 |
摘要 | 1)ダイズプロテオームデータベースを構築し、公開した。大豆出芽時の冠水処理で変動するたんぱく質群をプロテオーム技術で解析した結果、アスコルベートパーオキシダーゼ2およびアルコールデヒドロゲナーゼ2が顕著に変動すること見出した。また、大豆では嫌気呼吸の一つであるアラニン代謝が湿害に関係していることを示した。種子活力の高い種子から生じた実生では、冠水障害の発生が軽減されることを見出し、普及品種の中から生育初期の耐湿性が優れるものとして「タチナガハ」、劣るものとして「ハタユタカ」を見出した。35S:AtGSH1導入形質転換大豆を分析し、GSH合成能が強化されている系統を得た。一方、子実たんぱく質を制御する機構の解明に向けて、質量分析計を用い大豆種子および葉の一次代謝成分の一斉分析法を行い、光呼吸回路に関わる代謝産物が稲より大豆で高く、光呼吸回路がアミノ酸の供給源となっていることを示した。2)大豆通気組織のガス拡散性はセスバニアより劣っていることを明らかにした。また、通気組織形成時に変動するたんぱく質群を検出し、さらにトリヨード安息香酸はアブシジン酸による通気組織形成阻害を回復することを明らかにした。二次通気組織の形成中に黒根腐病菌を接種すると、大豆は二次通気組織形成を止めて周皮を形成した。一方、かん水処理と同時に病原菌を接種すると胚軸では周皮形成が間に合わず菌に侵入されることが多かった。3)関東地方の基幹品種「タチナガハ」に野生大豆の染色体の一部を導入した系統(染色体断片置換系統)の耐湿性指数(無処理個体に対するかん水処理個体の子実重比)は0.12~0.29の値を示した。これらの系統のうち、「29-4-9-8」は耐湿性品種である「伊豫大豆」並の耐湿性(耐湿性指数:0.29)を示し、野生大豆の染色体の一部を導入することにより大豆品種の耐湿性を向上させられることを明らかにした。また、難裂皮性を支配するQTLが2個(ACI1とACI2)見出された。これらは、年次・世代間で再現性が認められ、早晩性と無関係に難裂皮性を支配すると考えられた。4)既存のダイズモザイクウイルス(SMV)弱毒株(MG16)のゲノムRNAの遺伝子構造解析の結果、ゲノム結合たんぱく質の2カ所の変異が弱毒化に関与すると推定した。SMVの感染性クローンにこれらの変異を人為的に導入し、大豆に接種することにより、当該変異がMG16の弱毒化に関与することを明らかにした。 |
カテゴリ | 黒根腐病 湿害 耐湿性 大豆 データベース 品種 |