タイトル | 道央水田地帯におけるアスパラガス立茎栽培導入の経営指針 |
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担当機関 | 北海道立中央農業試験場 |
研究期間 | 2000~2003 |
研究担当者 |
白井康裕 |
発行年度 | 2003 |
要約 | アスパラガスの立茎栽培において年間 100 万円以上の所得を得るためには、ハウス栽培で 1200kg/10a以上の収量を確保し、栽培面積 400 坪が必要となる。また、露地栽 培では、620kg/10a以上の収量を確保し、栽培面積 30a が必要となる。 |
キーワード | アスパラガス、立茎栽培、所得 |
背景・ねらい | 道央水田地帯では、稲作部門の収益性低下に伴い野菜作の導入が急速に進展しており、中でも従来よりも高収量が期待できるアスパラガス立茎栽培が注目されている。そこで、 アスパラガス立茎栽培の先進産地における栽培実態の調査結果に基づき、アスパラガス立 茎栽培の導入に向けた経営モデルを作成し、水田作経営の安定化に資する。 |
成果の内容・特徴 | 1.道央水田地帯におけるアスパラガス産地では、経営耕地面積 10ha 以上の経営でアス パラガス栽培の導入が進展している。また、アスパラガス栽培の作業者は、女性が 中心である。ハウス立茎栽培に取り組む経営の収量(kg/10a)を年次間で比較した ところ、経営間でのバラツキが大きく、経営ごとの収量の順位は、一致する傾向にあ った(図1)。 2.ハウス立茎栽培において収量の高い経営の特徴として、定植前に多量の有機物を施用 し、土壌診断に基づくpH 調整等の土壌改良に努めていることに加えて、定植2年目 には春芽の収穫期間を短縮させ、株の養成に努めていることが確認された(図2)。 また、収量の高い経営では、灌水の重要性を認識していたため、用水の断水期以降も 水源を確保し、水量に不足が生じないように努めていた(図3)。 3.経営モデルを用いた試算から、ハウスにおける立茎栽培の収量(春芽と夏芽の合計) が、1200kg/10a以上であるならば、ハウス4棟(100 坪/棟)の導入により、パー ト賃金に相当する所得(100 万円)を確保できることが示唆された(表1)。したがっ て、定植前から、有機物の施用や土壌診断に基づくpH 調整等の土壌改良に努め、定 植2年目には、春芽の収穫期間が長くならないように注意し、灌水量に不足のないよ うに水源を確保することで、1200kg/10a以上の収量を確保することが必要になる。 4.露地における立茎栽培の収量(春芽と夏芽の合計)が 620kg/10a以上の場合、30a 以上作付けすることで、年間 100 万円以上の所得を確保することが可能である。ハウ ス栽培 400 坪と露地栽培 30aを組み合わせることで、夏季の兼業収入を上回る所得 (200 万円)を実現できることが示唆された(表1)。今後の水田利用のあり方として、 水稲の作付け減少に伴いアスパラガスの作付面積を増加させることは、経営経済的に も有効な手段となるものと判断された。 |
成果の活用面・留意点 | 1.アスパラガス立茎栽培に取り組む経営及び新たに導入を図る経営を対象とする。 2.取引価格は、現地における3カ年平均価格(2000~2002 年)を用いた。 |
カテゴリ | アスパラガス 経営管理 経営モデル 栽培技術 水田 土壌改良 土壌診断 |