タイトル | いちごの高設栽培技術 |
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担当機関 | (株)佐々木総業 |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
高品純 佐藤真由美(林産試) 斎藤直人(林産試) 細淵幸雄 坂口雅己 秋本正信(林試) 川岸康司 相川宗嚴 大村邦男 竹腰曜通 中住晴彦 福川英司 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 春期と夏秋期の二期どりを組み合わせた、新しいいちご高設栽培技術を開発した。また、林産資源を活用した軽量培地の開発と四季成り性品種「エッチエス-138」の栽培指針策定も行い、併せてこれら高設栽培の導入に当たっての指針を示した。 |
キーワード | イチゴ、高設栽培、夏秋どり、二期どり、林産資源、植繊機、エッチエス-138 |
背景・ねらい | 近年、いちご産地に導入されている「高設栽培」は立ち作業による軽作業性の点で労働 負荷軽減への期待が高い。しかし、実用性や収益性の面で不明な点が多いため、高設栽培 導入の現地実証試験を行い、月別作業時間・経費・収量性を検討する。さらに、ハウス内 で年二作の栽培を行う、「高設二期どり栽培法」を開発するとともに、林産資源を活用し た軽量培地、四季成り性品種の夏秋栽培法の開発を併せて行う。 |
成果の内容・特徴 | 1.夏秋どり用品種を用いた「夏秋・高設一期どり栽培」は土耕栽培と比べて作業性が大幅に向上し、また十分な所得が得られる(表1)。高設栽培導入2年目は1年目よりも作業 時間が減少し、投下労働1時間当たり所得は土耕栽培よりも多くなる。本技術は5,6,9 月の作業量が少ないことから、既に夏秋どり土耕栽培を行っている農家の他に、稲作・ 畑作主体の農家への導入が可能である(図1)。また、冬期間ハウスを利用しないため、 ハウス補強等の積雪対策を行う必要がなく、北海道全域で利用できる。 2.2001年に北海道優良品種に認定された四季成り性品種「エッチエス-138」の高設栽培向 けの栽培法の開発を行った。すなわち、液肥希釈倍率、株養成期間(花上げ開始時期)、 芽数管理法および花房数調整法を検討し、得られた知見をもとに策定した高設栽培指 針を表2に示す。 3.発泡スチロール製の魚箱を高設栽培槽に用い、その栽培槽を載せ換えることで同じハ ウス内での二期作を行う技術を開発した(表4)。すなわち、「高設二期どり栽培」は「加 温半促成+夏秋どり」の組合せ例では、9ヶ月間にわたりいちごを収穫することができ、 高収益が得られる(表3)。「無加温半促成+夏秋どり」の例でも7ヶ月間収穫でき、収益 性は高い。ただ、いずれも2作型を組み合わせることによって生じる労働時間を考慮し、 比較的経営面積が小さく集約的経営を行っている農家への導入が望ましい。 4.二期どり栽培では魚箱の移動の負担を軽減するため林産未利用資源を活用した培地の 軽量化を試みた。製材所から排出される粉砕スギ皮を利用した木質培地は一般の培土 よりも軽く、また多収となる。植繊機により粉砕したスギ間伐材粉砕物培地はさらに 軽量となり、実用性はより高い(表5)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.「夏秋・高設一期どり栽培」は北海道全域で利用できる。 2.加温半促成+夏秋どりの「高設二期どり栽培」は少雪温暖地域において有利であり、無加温半促成+夏秋どりの「高設二期どり栽培」は多雪地域においても利用できる。 3.本試験(夏秋どり栽培)は夏期高温年に実施された成績でないことに留意する。 |
カテゴリ | いちご 経営管理 栽培技術 大豆 品種 未利用資源 |