タイトル | 集約放牧における搾乳牛の放牧草採食量と草量との関係 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 | 1998~2003 |
研究担当者 |
小川恭男 須藤賢司 池田哲也 渡辺也恭 梅村和弘 落合一彦 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 集約放牧による短草利用でメドウフェスクとペレニアルライグラス放牧草の TDN 含有率が 70%程度に維持されるとき、搾乳牛の放牧草採食量は両草種間でその差が小さく、 草量が大きく影響する。 |
キーワード | 牧草、乳用牛、放牧、採食量、メドウフェスク、ペレニアルライグラス |
背景・ねらい | 搾乳牛の放牧草採食量には多くの要因が影響するとされる。また、草質の低下を伴うと 草量の増加が放牧草採食量の向上に必ずしも結びつかないとの報告がある。そこで、放牧 草の TDN 含有率を高く維持できるメドウフェスク(MF)またはペレニアルライグラス(PR)短草利用草地に搾乳牛を昼間 1 日輪換放牧し(夜間は 1 牧区制永年草地を共用し放牧)、 放牧草採食への草量、補助飼料摂取量、乳量の影響を評価するとともに、両草種間の差を 明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1.約 180 日の放牧期間平均で、放牧草の TDN 含有率が 70%程度に維持され、併給飼料 摂取量(乾物)が 1.64kg/体重 100kg/日のとき、放牧草採食量(乾物)は 1.75(昼間 1.41、 夜間 0.34)kg/体重 100kg/日を示す(表 1 左列)。 2.放牧草採食量はその 81%が摂取された MF または PR昼間草地における草量との関 係が深い(表 1 右列)。重回帰式で放牧草採食量を推定する際に有効な要因は、昼間 および夜間草地の草量と併給飼料摂取量で、乳量や高水準に維持された放牧草の TDN 含有率は推定に必要な要因に選ばれない。また、併給飼料摂取量など乳量以外の要因影響を除くと、放牧草採食量に乳量は影響しない。 3.集約放牧を行った MF または PR昼間草地では、割り当て草量(体重 100kg 当たり 草量)が放牧草採食量と放牧草からの TDN 摂取量に大きく影響する(図 1、表 2)。 両草種間の差は前者でわずかであり、後者では認められない(表 2)。 4.以上の結果より、草質が高く維持される MF または PR 集約放牧草地で放牧草採食量 を向上させるためには、(割り当て)草量の確保を重視する必要がある。 |
成果の活用面・留意点 | 1.MF または PR が越冬可能な地帯で短草利用(草丈で MF30cm、PR20cm 程度)を行う 場合に活用できる。 2.本成果は ha 当たり放牧頭数 2 頭とした春分娩牛 4 頭 1 群の測定値・平均値から得ら れたものである。供試牛の推定 305 日乳量は約 9000kg、摂取 TDN 量の構成は放牧期 間平均で放牧草:併給粗飼料:濃厚飼料= 5:1:4 である。 |
カテゴリ | 乳牛 |