タイトル | 乳牛の繁殖改善モニタリングシステム |
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担当機関 | 根釧農試 |
研究期間 | 2000~2003 |
研究担当者 |
遠谷良樹 菊地実 芹川慎 昆野大次 山川政明 小関忠雄 小山毅 仙名和浩 扇 勉 糟谷広高 草刈直仁 大滝忠利 二階堂聡 鈴木善和 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 乳牛の繁殖成績は、周産期の健康、栄養充足ならびに発情発見技術によって大きく影響 |
キーワード | 乳牛、繁殖、周産期、乳成分、初乳性状、発情発見、健康、モニタリング |
背景・ねらい | 乳牛の繁殖性向上のためには、繁殖に影響を及ぼす要因を明らかにし、モニタリングするこ とが有効と考えられる。これに利用できる乳検情報は搾乳牛をモニタリングすることはできる が、乾乳期から分娩前後の周産期牛をモニタリングすることはできない。そこで、周産期にお ける乳牛の健康状態をチェックするモニタリング手法を開発するとともに、牛群の飼養管理の 適切性を把握する乳検情報の活用法を検討して、繁殖改善モニタリングシステムを確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1.周産期モニタリングの項目は、農場の授精率に影響する乾乳期の BCS および分娩難易度、 ならびに、分娩後の卵巣機能回復と関係する胎盤停滞、初乳比重および初乳ケトン体の5項 目とし、その基準は表 1とおりとする。これに基づき作成した「周産期モニタリング・チ ェックシート」によって 6 農場 353 頭の周産期スコアを判定した結果から有用性が確認でき る(表 2)。 2.空胎日数を短縮するには、周産期における健康維持、分娩後の栄養充足、ならびに的確な 発情発見技術が重要であり、これらが繁殖改善のモニタリング対象となる(表 3)。 3.根室管内における乳検実施牛の成績をもとに、分娩後日数別の授精率および妊娠率による 繁殖成績評価法を検討し、繁殖成績を良好に保つための目標値を設定する(表 4)。 4.根室管内における 710 農場の乳検情報を解析したところ、繁殖成績が良好であった農場と 良好でない農場との間で、分娩後の乳脂肪率高値(5%以上)出現割合ならびに泌乳初期の乳 蛋白質率低値(2.8%未満)出現割合が異なっていた。両区の判別点を求めこれらの値を繁殖成 績を良好に保つための栄養充足の基準として設定する(表 4)。 5.初回授精日数 74 日以内の 8 農場において初回授精成績を調査したところ、発情を行動で 発見する割合が 50 %以上と高い 3 農場は発情行動の検出率が低い 5 農場に比べて、受胎率 が有意に高かった(52.2% vs.30.3%、p<0.05)。受胎率向上のためには発情行動を検出し、適 期に授精することが重要である。 6.牛群の繁殖改善モニタリング対象となる4点に関連する上記の項目等についてその基準を 表 5 に示す。これに基づき「繁殖改善モニタリング・チェックシート」を作成している。、 「周産期モニタリング・チェックシート」、ならびに「繁殖改善モニタリング・チェックシー ト」を用いたシステムから、繁殖成績を向上させるための改善点を明らかにすることができる。 |
成果の活用面・留意点 | 1.酪農生産現場において、牛群の周産期管理、栄養管理ならびに繁殖管理が適正であるか どうかを判断するために活用できる。 |
カテゴリ | 飼育技術 受胎率向上 乳牛 繁殖性改善 評価法 モニタリング |