タイトル | サワーブレッドに特異的に検出されるペプチド |
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担当機関 | (独)食品総合研究所 |
研究期間 | 2004~2005 |
研究担当者 |
安藤聡 中村敏英 島純 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 乳酸菌と酵母の共発酵により製造され、酸味を有するサワーブレッドであるパネトーネパン生地に、特異的に検出されるペプチドが存在することを見いだした。そのペプチ ドは、小麦低分子量グルテニンの C 末端近傍から切り出された Val-Pro-Phe-Gly-Val-Gly で、アンジオテンシン I 変換酵素阻害ペプチドと部分的に類 似していた。 |
キーワード | サワーブレッド、ペプチド、乳酸菌、パン酵母 |
背景・ねらい | パン類は、我が国の食生活においても重要な位置を占める発酵加工食品である。サワーブレッドにはド ウ乳酸菌と呼ばれる乳酸菌群が高い割合で存在している。主なドウ乳酸菌は Lactobacillus 属に分類され、 生理活性ペプチド等の機能性成分の生産・変換能を有している可能性がある。そこで、本研究では、サワ ーブレッドの製造過程において、ドウ乳酸菌とパン酵母の機能により生成する特異的なペプチドの同定を 行った。 |
成果の内容・特徴 | 1.凍結乾燥したサワーブレッド生地から、水による抽出及び限外ろ過による分画により、ペプチド画分 を取得した。サワーブレッドのペプチド画分を逆相クロマトグラフィーにより解析したところ、発酵 種を添加していないコントロールと比較して、SDP1-4 と名付けた特異的な 4 つのピークが観察された (図1)。 2.特異的なピークのうち、SDP1 と名付けたピークに含まれるペプチドを LC-MS/MS により分析したとこ ろ、Val-Pro-Phe-Gly-Val-Gly構造を有するペプチドであることが推定された。 3.SDP1配列を基にデータベース検索を行ったところ、SDP1 は小麦の低分子量グルテニンの C 末端近傍 から派生したペプチドであることが推定された(図2) 4.機能性ペプチドとの相同性解析を行ったところ、SDP1 は血圧上昇防止効果が知られているアンジオテ ンシン I 変換酵素阻害ペプチドと部分的に類似していることが示唆された(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 本研究で得られた成果は、サワーブレッドの機能性を示唆する知見であるが、今後、同定したサーブレ ッド特異的なペプチドの生理機能に関する解析を進める必要がある。 |
カテゴリ | 加工 乾燥 機能性 機能性成分 小麦 データベース |