アレルゲンタンパク質含有量の低いトマト育種へのrin遺伝子の利用

タイトル アレルゲンタンパク質含有量の低いトマト育種へのrin遺伝子の利用
担当機関 (独)食品総合研究所
研究期間 2004~2005
研究担当者 伊藤康博
森山達哉(近畿大学)
北川麻美子(カゴメ(株)
発行年度 2005
要約 成熟制御遺伝子LeMADS-RIN遺伝子のrin変異をヘテロに持つトマトは生食に適した成 熟を示しながら優れた高日持ち性を示す。このトマトはトマトアレルゲンとして知られ るβ-fructofuranosidase 及び PG-2A発現が少なく、その抽出液は正常型と比較してトマ トアレルギー患者血清に対する反応性が低下していた。従って rin 変異遺伝子は低アレ ルゲントマトの育種において有望な素材と言える。
キーワード トマト、アレルゲンタンパク質、rin変異遺伝子、高日持ち性
背景・ねらい 日持ち性を改善する目的でカゴメ(株)において育種されたrin変異遺伝子をヘテロに持つトマトは生食 に適した成熟を示しながら優れた高日持ち性を示す(図1)。このトマトの特性を解析をする過程で、トマ トアレルギーの原因タンパク質となる遺伝子の転写量が減少していることを見出した。一般にトマトアレ ルギーの症状として、患者が生の果実を食したときに口腔周辺部にかゆみや刺激感等が生じる (Oral allergy syndrome; OAS)ことが知られている。そこでRIN/rinヘテロ型トマトにおいてアレルゲンタンパク質蓄積が低下していることを実証し、低アレルゲントマト育種におけるrin変異遺伝子の利用の可能性を調 査する。
成果の内容・特徴 1.RIN/rinヘテロ型トマトのマイクロアレイ解析によりトマトアレルゲンタンパク質として知られる β-fructofuranosidase及びPG-2AのmRNA転写量が低下していることを見出した。この結果についてはリ アルタイムPCR法で再現性を確認した(図2)。
2.両タンパク質について果実成熟過程における蓄積量を検討した結果、両タンパク質ともヘテロ型トマ トにおいて蓄積量が大きく減少していることが明らかとなった(図3)。
3.正常型及びヘテロ型トマトから抽出したタンパク質のIgE反応性を、患者血清を用いてウェスタンブロ ット法により調べたところ、正常型トマトにおいて反応するタンパク質のうち、ヘテロ型トマトでは β-fructofuranosidaseと思われるバンド以外にもいくつかのバンドについてシグナルが弱くなったり、消 失したりするものがあった(図4)。
4.以上の結果より、RIN遺伝子はアレルゲンとなるタンパク質の発現に関与しており、rin変異遺伝子の 利用によりその発現が低下することが示された。従って低アレルゲントマトの育種においては、本遺伝 子の利用、例えばここで示したRIN/rinヘテロ型トマトが利用できる可能性がある。
成果の活用面・留意点 正常型のトマトに比べると、IgE 反応性を示すタンパク質の量は明白に減少しているが、完全に消失す るわけではないので、ヘテロ型果実を実際に患者が食べられるのかどうかは、十分その反応性を医学的に 検討していく必要がある。
カテゴリ 育種 トマト

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