無触媒メチルエステル化法実証プラントによるバイオディーゼル燃料製造

タイトル 無触媒メチルエステル化法実証プラントによるバイオディーゼル燃料製造
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2007~2008
研究担当者 芋生誠(鹿島建設)
河﨑澄(滋賀県立大)
吉村美毅(鹿島建設)
宮野寛(鹿島建設)
後藤雅史(鹿島建設)
荒木徹也(東大)
佐藤隆裕(鹿島建設)
山根浩二(滋賀県立大)
小川浩司(鹿島建設)
倉持和博(鹿島建設)
相良泰行(東大)
多田羅昌浩(鹿島建設)
鍋谷浩志
蘒原昌司
発行年度 2008
要約 常圧の条件で過熱メタノール蒸気を油脂と接触させることにより、アルカリ触媒を用いることなく動植物油脂から脂肪酸メチルエステル(バイオディーゼル燃料)を製造する。アルカリ触媒を除去するための精製工程が不要であるためコスト低減が可能となる。
キーワード 無触媒、脂肪酸メチルエステル、廃食用油、バイオディーゼル燃料、過熱メタノール蒸気
背景・ねらい 動植物油脂を軽油代替燃料とするためには、その粘度を軽油に近いレベルにまで低下させる必要があるが、現状の技術としては、アルカリ触媒(水酸化ナトリウムや水酸化カリウム)を用いた脂肪酸メチルエステル(Fatty Acid Methyl Ester: FAME)への変換が主流である。この場合、反応後にアルカリ触媒を除去するための精製工程が必要であり、コスト低減の障害となっている。また、遊離脂肪酸はアルカリ触媒と反応して石けんを生成するため、従来のアルカリ触媒法を用いて廃食用油等の遊離脂肪酸を含む脂質を処理する際には、前処理として遊離脂肪酸を除去する脱酸工程が必要である。これらの問題を克服するため、触媒を用いることなくFAME(バイオディーゼル燃料)を製造する技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 常圧の条件下で過熱メタノール蒸気を反応槽に吹きこむことにより、気泡と油脂との界面でのエステル交換反応(FAMEの生成)を促進させる。生成したFAMEは未反応のメタノール蒸気とともに反応槽から流出し、コンデンサーによりメタノールと分離され、製品タンクに回収される。製品タンクでは比重差によりグリセリンが相分離し、FAMEを主成分とする製品が得られる(図1)。
  2. 「無触媒過熱メタノール蒸気法」によって1日あたり500 Lの原料油から400 L以上のバイオディーゼル燃料を連続製造する実証プラント建設し(図2)、製造実験では、廃油(パーム油)を原料として425 L/日の製造能力を確認した。また、製品中のFAMEの含有率を、バイオディーゼル燃料のニート規格である96.5%以上まで高めることができた。
  3. 本法で製造された燃料を用いて単気筒ディーゼルエンジンによる燃焼試験を行った結果、従来法(アルカリ触媒法)による燃料とほぼ同等の性能・排気特性が得られた。
  4. 実証プラントでの製造実験で明らかになったエネルギー消費量を基に、6000 kL/年規模の事業プラントの製造コストを試算した結果、本法では45 円/L以下でバイオディーゼル燃料を製造可能であることが示された(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 軽油と混合する場合(B5での利用;軽油にバイオディーゼル燃料を5%混合)、事業者登録と品質確認が必要である。(揮発油等の品質の確保等に関する法律(品確法);平成21年2月25日施行)
  2. 原料となる油脂の調達方法、バイオディーゼル燃料製造技術、燃料の利用まで、一貫して投入エネルギーの少ない代替エネルギー製造利用体系が確立される必要がある。
図表1 210100-1.gif
図表2 210100-2.jpg
図表3 210100-3.gif
カテゴリ コスト 低コスト

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