易分解性糖質を蓄積する稲わら稈部の並行複発酵によるバイオエタノール生産

タイトル 易分解性糖質を蓄積する稲わら稈部の並行複発酵によるバイオエタノール生産
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究期間 2007~2008
研究担当者 近藤始彦(作物研)
三王(荒井)裕見子(作物研)
徳安健(食総研)
朴正一(食総研)
発行年度 2008
要約 易分解性糖質は、稲わらの茎から葉鞘を除去した部分(稈部)に蓄積する傾向があり、品種系統のみならず収穫後の貯蔵法により質や量が変化する。稈部のみを回収して並行複発酵を行うことにより、5%以上の高濃度エタノール発酵液を得る。
キーワード 稲わら、易分解性糖質、稈、バイオエタノール
背景・ねらい 食料生産と競合しないバイオ燃料製造技術を開発するため、稲わらを原料としたバイオエタノール製造研究や実証試験が行われている。しかしながら、その対象糖質は稲わら中のセルロースおよびヘミセルロースであり、シュークロース、でん粉、グルコース、フラクトースおよびβ-1,3-1,4-グルカンから構成される易分解性糖質の存在を考慮したエタノール生産技術は開発されていない。そこで、稲わら中の易分解性糖質を蓄積する部位を用い、並行複発酵による高濃度エタノールの生産技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 稲わら(リーフスター(LS))稈部を切断し走査型電子顕微鏡で観察した結果、組織内に10-20μm程度のでん粉粒が観察される(図1)。
  2. 稲わら(LSおよびコシヒカリ)稈部の易分解性糖質は両品種とも稈部乾重の30%以上存在し、その量はセルロースよりも多い。易分解性糖質としては、でん粉のみならず、遊離糖やβ-1,3-1,4-グルカンも存在する。貯蔵法の差により、易分解性糖質の量的・質的変化が観察される(表1)。
  3. 70℃乾燥のみを行ったLSの稈に含まれる易分解性糖質は、葉鞘・葉身部と比較して濃度で4倍以上、絶対量で2.8倍となる。稈部のみを回収すれば、重量を4割に減じて全体の約3/4の易分解糖質を回収できる。
  4. 易分解性糖質の濃度が高い稈部を用い、粉砕後、並行複発酵に供することにより、5%以上の高濃度エタノール生産が可能となる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 稲わら中の易分解性糖質蓄積を目的とした育種・栽培条件、そして貯蔵時における成分変動要因については十分に解明されていない。易分解性糖質を著量蓄積する稲わらの利用技術を実用化するためには、稲わらの安定生産・貯蔵技術の開発が不可欠となる。
  2. 高濃度エタノール発酵により蒸留コストが低減する。圃場近辺での稈回収技術の開発により、副産物となる葉鞘・葉身部を鍬込み用途、燃料用途等に供するとともに、稲わら原料の輸送コストを削減できると期待される。
図表1 210104-1.jpg
図表2 210104-2.gif
図表3 210104-3.gif
カテゴリ 育種 乾燥 コスト 栽培条件 品種 保存・貯蔵 輸送

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