タイトル |
コルヒチン処理による4倍体イチジクの作出法 |
担当機関 |
大阪府立農林技術センター |
研究期間 |
1996~1999 |
研究担当者 |
古川 真
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発行年度 |
1999 |
要約 |
イチジクの腋芽を利用した茎頂培養系と植物体の増殖・発根条件を確立し、その培養系を用いて腋芽にコルヒチン処理を行うことにより、根端細胞の染色体数を倍加させた4倍体イチジクを作出した。
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背景・ねらい |
健康食品としてのイチジクに対する関心が高まるにつれて、その需要は増加してきており、消費拡大のために新品種の育成が望まれる。そこで、果皮が黄色く高糖度であるが、果実が小さい「カドタ」を育種素材とし、その培養条件を確立した後、果実の大型化を目的として腋芽の茎頂にコルヒチン処理を行い、4倍体の育成を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 腋芽の茎頂培養は、MS培地にIBA 0.2mg/l、BA 0.5mg/l、シュークロース3%、寒天 0.8%を添加し、pH5.8に調整した培地を用いて行う。
- 植物体の増殖には、MS培地にIBA 0.1mg/l、BA 1.0mg/l、ジベレリン 0.015mg/l、シュークロース3%、寒天0.8%を添加し、pH5.8に調整した培地が好適である(表1)。
- 植物体の発根には、ホルモンフリーの1/2~1/4濃度のMS培地を発根培地として用い、短期間で同等の新しい培地に継代することにより、発根率は100%となる(図1)。
- コルヒチン濃度 0.01~0.5%を添加した増殖用培地中に腋芽を埋め込み、1~4日間処理を行った後、腋芽から再生した植物体を切り取り、発根用培地(1/4MS、ホルモンフリー培地)に移植して発根させ、根端細胞の染色体数を酢酸オルセイン染色法により調査した。イチジクの染色体数は2n=26であるが、2n=52の4倍体が9個体確認された。それらのコルヒチン処理条件は、7個体が 0.01%・1日間、2個体が 0.01%・2日間である(表2、図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 「カドタ」の腋芽にコルヒチン処理を行い、4倍体を作出したことで、その特徴である黄色い果皮と高い糖度に、染色体数の倍加による果実の大型化を付与できる可能性がある。
- 新品種育成に向けて、4倍体の生育特性や果実の形態的特徴等についての調査を行っている。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育種
いちじく
消費拡大
新品種
新品種育成
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