収穫期における稲体窒素保有量と白米全窒素含有率の関係

タイトル 収穫期における稲体窒素保有量と白米全窒素含有率の関係
担当機関 兵庫県立中央農業技術センター
研究期間 1997~2000
研究担当者 牛尾 昭浩
桑名 健夫
松山 稔
発行年度 2000
要約 収穫期における稲体窒素保有量と白米の全窒素含有率は高い正の相関関係を示し、「日本晴」の場合、収量と白米全窒素含有率を考慮した稲体最適窒素保有量は約12kg/10aとなる。
背景・ねらい  コメの食味に関連する成分として、米粒中の全窒素含有率が食味と負の相関関係にあるといわれている。稲わらや家畜ふん堆肥等の有機物を水田に連年施用すると土壌からの窒素供給量が増加するので、収穫期における稲体の窒素保有量が増加して米粒中の全窒素含有率が高まると予測される。そこで、収量性を考慮した良食味米生産の安定化を図るために、有機物の連年施用による土壌窒素供給量の増加ならびに施肥の有無による稲体窒素保有量の差が、収量や白米中の全窒素含有率に及ぼす影響を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 稲わら全量還元と石灰窒素20kg/10a、稲わら全量還元と乾燥牛ふん1t/10a、おがくず入り牛ふん堆肥を1t/10aおよび3t/10aをそれぞれ10年間連年施用したほ場と、有機質資材を10年間投入しなかったほ場を用いて、無肥料ならびに10a当たり窒素成分で基肥;4kg-分げつ肥;2.5kg-穂肥;3kg、総計9.5kgの施肥で水稲「日本晴」を栽培した。
  2. わら重は稲体窒素保有量に比例して高い値を示すが、粗もみ重は稲体窒素保有量が15kg/10aより多くなると低下する(図1)。精玄米重は稲体窒素保有量の増加に比例し、窒素保有量が12kg/10aになるまで増加するが、稲体窒素保有量がさらに高まると減少する(図2)。
  3. 白米中の全窒素含有率は、稲体窒素保有量と高い正の相関関係を示す。有機物の投入量に応じて稲体窒素保有量が増加する条件のもとでは、無肥料栽培であっても白米全窒素含有率は高い値を示す(図3)。
  4. もみ/わら比が高いほど白米の全窒素含有率が低くなる(図4)。
  5. 収量と白米全窒素含有率を考慮した稲体最適窒素保有量は約12kg/10aである。

成果の活用面・留意点
  1. 収量性を考慮した”低タンパク米”を生産するためには、もみ/わら比を高く保ちながら最大の乾物生産量を得ることが重要なポイントである。
  2. 収量と白米全窒素含有率を考慮した最適窒素保有量は「日本晴」では約12kg/10aであるが、最適量は品種や作期によって異なる。
  3. 有機物の連用によって土壌窒素供給量は増加するが、その量は有機物の投入量、品質、気象条件によって異なる。

図表1 211064-1.jpg
図表2 211064-2.jpg
図表3 211064-3.jpg
図表4 211064-4.jpg
カテゴリ 土づくり 肥料 乾燥 水田 施肥 品種 良食味

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