タイトル | 熱水土壌消毒後の可給態マンガンの動態 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 | 2000~2003 |
研究担当者 |
西牟田康博(エーザイ) 西和文 池田剛志(エーザイ) 中島隆(九州研) 中野明正 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 熱水土壌消毒後の土壌中では、可給態マンガンが土壌表層部を中心に一時的に増加し、有機質に富む黒ボク土など土壌によっては、マンガン過剰症の発生が懸念されるレベルに達する場合も生ずる。しかし、消毒終了後には急激に減少するので、熱水土壌消毒でマンガン過剰症が発生する可能性は低い。 |
キーワード | 熱水土壌消毒、マンガン過剰症、生育障害 |
背景・ねらい | 化学合成農薬に頼らない土壌消毒法として、近年熱水土壌消毒が注目を集めている。本消毒法では、蒸気消毒に見られるようなマンガン過剰症による生育障害の発生はごく少数例にとどまっている。熱を利用した土壌の物理的消毒法では、可給態マンガンの増加が常に懸念されるところであるので、熱水土壌消毒後の土壌中における可給態マンガンの動態を解析し、マンガン過剰による生育障害発生の可能性について検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 注入直後の温度が90℃前後の熱水消毒により、土壌中の可給態マンガンの増加が認められる(図1)。 2. 有機養液土耕跡地土壌のマンガン含量上昇が深さ25cmより深い部分で抑制される。これにより有機養液区では、表層の透水性が低下していた可能性が考えられる。 3. 細粒黄色土である愛知県大府市の圃場の場合、可給態マンガン含量は高くても20mgkg-1に抑えられる。より高い温度での処理(オートクレーブ120度,30分間)によっても可給態マンガン濃度はほぼ熱水と同じ濃度で、最大20~30mgkg-1程度であり、100mgkg-1以上で発生すると言われるマンガンの過剰障害発生の可能性は低い。 4. 土壌の種類により、例えば、黒ボク土圃場の場合マンガン過剰症発生が懸念されるレベルに達する場合もある(図2)。 5. 可給態マンガンの増加は主として土壌表層から深さ約35cmまでの間で生じ、それより深い部分での増加量は少ない(図1、図2)。 6. 熱水土壌消毒により増加した可給態マンガンは,その後急激に減少する。耕起等による土壌のかく乱がない場合でも、消毒42日後にはマンガン過剰症の発生が懸念されるレベル以下となる(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 熱水土壌消毒2週間後には播種または定植でき、メロン,トマト、ピーマン、キャベツ、ホウレンソウ、レタス、ダイコン、カブ、エンドウ、ソラマメ、ダイズ、コムギなどに、通常マンガン過剰症は観察されていない。 2. 特別にマンガン含量の高い土壌、また有機質に富む土壌においては、熱水消毒後の可給態マンガン量が減少するのを待って播種または定植を行うよう留意する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
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