マルチを利用した播種期前進化による直播エダマメの作期拡大技術

タイトル マルチを利用した播種期前進化による直播エダマメの作期拡大技術
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2006~2008
研究担当者 片山勝之
細野達夫
細川 寿
塩谷幸治
発行年度 2008
要約 低温期に播種したエダマメは、黒色ポリマルチを利用すれば出芽は安定し旺盛な生育と収量が得られる。また、品種と播種期を組み合わせた段播計画により、4月下旬から6月上旬播種の省力的な直播栽培だけで、7月下旬から9月上旬に継続的に出荷できる。
キーワード エダマメ、直播、作期前進、段播き、被覆資材、線形計画法
背景・ねらい 新潟県での水稲-ダイズ作の水田複合経営においてエダマメを導入する場合、4月から5月上旬にかけてはポリマルチ被覆による移植栽培が一般的である。しかし、この時期は水稲育苗や移植作業と重なり労働競合するため、直播栽培による省力化が必要である。また、エダマメの収穫適期は3日程度と短いことから収益を上げるためには段播き(順次播種)による作期拡大化が必要である。そこで、品種と播種期を組合わせた段播計画において4月下旬から5月上旬は耕うん同時畝立て・播種・マルチ作業機によるマルチ直播、5月中下旬は無被覆直播を行い、作期拡大と継続出荷を図り、所得増加を目指す。
成果の内容・特徴
  1. マルチ直播では無被覆直播に比べ、播種後10日間の畝表面下5cmの平均地温は、無被覆に比べて約1℃高く、出芽・苗立ちは安定する。
  2. 低温期においてマルチ直播の方が莢数、A品重、収穫期の莢乾物重と全乾物重において無被覆直播よりも有意に大きい(図1)。
  3. マルチ直播でも株穴より雑草が発生するが、無被覆直播に比べれば有意に少ないので除草作業は軽減される(図1)。
  4. 品種毎に播種期を決めれば収穫期予測モデルにより収穫期が予測できる(関東東海北陸農業研究成果情報 平成18年度)。このことを活用して、いくつかの品種と播種時期を組み合わせた段播計画を立てれば継続出荷が可能である(図2)。
  5. 春作業時期におけるマルチ移植の作業時間は約18時間/10aに対しマルチ直播は約3時間/10aと省力的である(表1)。マルチ移植は水稲春作業との競合状況からその導入は現実的でない。50ha規模の水田作経営が、現状(転作率30%で水稲35ha、ダイズ15ha)からダイズの一部にエダマメを導入し、全てエダマメ直播するモデル(「新技術モデル」と略)の導入効果を線形計画法で分析したところ、エダマメ作付面積1.2ha、市場単価900円/kg(新潟茶豆の場合、その他の品種は1割減)の場合、現状モデルより所得が約80万円が期待できる(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 茶豆を中心とした4品種について、北陸4県の各アメダス地点における播種日と予想収穫日の対応表をホームページに公開している(http://narc.naro.affrc.go.jp/inada/edamamex/edamamex.html)。
  2. 前年秋季に額縁明きょや弾丸暗きょを設けるなど排水対策が必要である。
  3. 導入が期待されるのはエダマメ収穫時期に一定の労働力を確保できる大規模水田作経営である。一定の所得確保には4月下旬から5月上旬にマルチ直播で約50a、5月中下旬に無被覆直播で50a以上の栽培面積が必要である。
図表1 211744-1.gif
図表2 211744-2.gif
図表3 211744-3.gif
図表4 211744-4.gif
図表5 211744-5.gif
図表6 211744-6.gif
図表7 211744-7.gif
図表8 211744-8.gif
カテゴリ 病害虫 育苗 えだまめ 経営管理 雑草 直播栽培 出荷調整 省力化 除草 水田 水稲 大豆 播種 春作 品種

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