タイトル |
夏期までの雑草抑制に有効なカバークロップの生育量 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
中谷敬子
澁谷知子
三浦重典
橋爪 健(雪印種苗)
藤井義晴(農環研)
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発行年度 |
2008 |
要約 |
秋期に播種し、夏雑草発生開始期である4月下旬までに乾物重300g m-2、乗算優占度0.26 m3m-2以上に達し、同盛期である6月下旬まで乾物重400g m-2、乗算優占度0.24 m3m-2以上に維持されるカバークロップは、夏期までの雑草を顕著に抑制する。
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キーワード |
カバークロップ、雑草抑制、乗算優占度
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背景・ねらい |
冬期から夏作物を栽培するまでの休閑期間にカバークロップを導入することは、地力の向上や環境保全等に有効な手段である。その場合、同時に雑草が抑制されることが必須条件となる。カバークロップの抑草効果を最大限に発揮させるには、地域に適したカバークロップの播種時期、草種の選択等が必要であるが、その際の判断基準となるカバークロップの特性(生育量)は示されていない。そこで、休閑期間の雑草を抑制可能なカバークロップの生育量を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 秋期(10月)に播種し、地上部乾物重が夏雑草発生開始期の4月下旬までに300g m-2以上に達するカバークロップは、冬雑草およびヒメムカシヨモギを主とする越年生雑草の乾物重を6月下旬まで30g m-2以下に抑制する(図1- a, b)。
- 秋期(10月)に播種し、地上部乾物重が夏雑草発生開始期の4月下旬までに300g m-2以上に達し、夏雑草発生盛期(6月下旬)までその乾物重を400g m-2以上に維持するカバークロップは、メヒシバ、エノコログサ、カヤツリグサ等の夏雑草を主とする6月下旬の雑草発生本数を合計500本m-2以下に抑制する(図1- c, d)。
- 秋期(10月)播種のカバークロップの乾物重と乗算優占度(被度×草高、単位面積当たり占有体積)との間には、4、6月いずれの測定時においても、カバークロップの種類によらず高い相関が認められる(図2)。雑草抑制に有効なカバークロップの生育量を乗算優占度で表せば、4月では0.26 m3m-2、6月では0.24 m3m-2となり、さらに被度と草高で表せば80%、33~30㎝程度となる。
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成果の活用面・留意点 |
- 冬期から夏作の主作物を作付けするまでの緑肥や耕地管理等の目的でカバークロップを導入する際の参考資料となる。
- 農業環境技術研究所実験圃場(茨城県つくば市)にて得られたデータにもとづくものであり、関東地域以外の地域においては播種期と生育量との関係についてさらに検証を行う必要がある。
- この成果は無施肥の栽培条件において得られたものであり、施肥条件ではカバークロップの生育速度および生育量が増加し、雑草抑制に有用なカバークロップの種類が増加する可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
栽培条件
雑草
施肥
播種
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