低アミロ小麦の製パン適性評価とパンへの利用性

タイトル 低アミロ小麦の製パン適性評価とパンへの利用性
担当機関 品質制御研究チーム
研究期間 1998~1998
研究担当者 一ノ瀬靖則
桑原達雄
高田兼則
山内宏昭
船附稚子
入来規雄
発行年度 1999
要約 雨害等によりアミログラフ最高粘度(以下、アミロ値)の低下したいわゆる低アミロ小麦粉の製パン時の比容積は、アミロ値100程度までであれば大きく低下しない。低アミロ化による比容積低下の主原因は、収穫前にエンドプロテアーゼによって子実中のグルテンの部分分解が起こり、低アミロ小麦粉の生地が軟化するためである。
背景・ねらい 北海道においては、小麦の収穫期に、低温、寡照の日が続き、穂発芽等によって品質の低下したいわゆる「低アミロ小麦」が発生し甚大な被害をもたらす。これまで、この問題に対しては、その多くが穂発芽難品種の育成など被害回避を目的としたものであり、低アミロ小麦の品質評価もうどん等の麺類に関するものがほとんどであった。そこで、本研究では、低アミロ化した小麦でも比較的良好な製品が得られる可能性のあるパンに注目し、低アミロ小麦の品質の再評価と品質の限界基準を明らかにした。次に、低アミロ化による製パン性の劣化の機構について検討した。
成果の内容・特徴
  1. アミロ値200程度までであれば、低アミロ小麦粉(うどんの場合アミロ値300以下の小麦粉は低アミロ小麦粉)でも、製パン時の比容積の大きな低下はない(図1)。
  2. ほぼ同じアミロ値の小麦粉でも小麦粉のグルテン強度によって、比容積の低下度に差があり、超強力粉(グルテン強度非常に強)であるVictoria INTAでは、ある程度低アミロ化した方が逆に比容積は向上する(図1)。
  3. 低アミロ小麦粉の比容積の低下は、60%粉エンドプロテアーゼ活性と比容積の間に相関がなく、全粒粉エンドプロテアーゼ活性及び生地物性の破断力と比容積の間に相関があることから、収穫前の段階で本酵素によりグルテンが部分分解され、それにより生地の破断力が低下(生地物性の軟化)することが主原因である(図2、図3)。
  4. 低アミロ小麦粉の全粒粉エンドプロテアーゼ活性と生地物性の破断力値が、それぞれ、約3.5(ΔOD590/g・hr)以下、約2.0(N)以上であれば、一定比容積以上のパンが得られる(図2、3)。
成果の活用面・留意点
  1. 同程度のアミロ値の小麦でもグルテン強度によって、比容積の低下程度はかなり異なる。
  2. 低アミロ小麦粉の製パン時の比容積の新たな推定法として全粒粉エンドプロテアーゼ活性と生地物性の破断力値の測定が有効である。
 
図表1 212197-1.gif
図表2 212197-2.gif
図表3 212197-3.gif
カテゴリ ICT 小麦 品種

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