タイトル |
良食味、耐冷の水稲新品種候補系統「空育163号」 |
担当機関 |
北海道立中央農業試験場 |
研究期間 |
1993~2000 |
研究担当者 |
丹野 久
菅原圭一
宗形信也
田縁勝洋
吉村 徹
相川宗嚴
菊地治己
佐藤 毅
前田 博
本間 昭
田中一生
佐々木忠雄
太田早苗
鴻坂扶美子
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発行年度 |
2000 |
要約 |
水稲「空育163号」は北海道で中生の早に属する耐冷、やや多収、良食味の粳種である。「きらら397」の一部に替えて作付けすることにより寒地における産米の食味向上と安定生産を図る。
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背景・ねらい |
平成12年の北海道における粳作付けは「きらら397」が59%、「ほしのゆめ」が33%と、特に「きらら397」の過剰作付けが問題となっている。「きらら397」は「ほしのゆめ」に比べ収量性が高いものの食味、耐冷性が劣り、冷害年での不稔発生時の減収と食味低下が懸念され、「きらら397」に替わる耐冷、良食味品種が必要とされている。
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成果の内容・特徴 |
- 水稲「空育163号」はひとめぼれ/空系90242A//空育150号(あきほ)の組合せのF1を、生物工学部(当時)で葯培養により育成した材料より選抜した中生の良食味粳系統である。
- 出穂の早晩は「ほしのゆめ」よりやや早く「きらら397」と同じ中生の早である。
- 稈長は両品種よりやや長く、穂長は「ほしのゆめ」より長く「きらら397」並みで、草型は“偏穂数型”である。
- 割籾の発生は「きらら397」より多く「ほしのゆめ」より少ない。
- 耐冷性は「きらら397」に優り「ほしのゆめ」と同じ“強”である。いもち病の真性抵抗性遺伝子型は“Pia,Pii”で、圃場抵抗性は葉いもちが「ほしのゆめ」に優り「きらら397」と同じ“やや弱”、穂いもちが「きらら397」に劣り「ほしのゆめ」と同じ“やや弱”である。耐倒伏性は両品種に劣り“やや弱”である。
- 収量性は「ほしのゆめ」に優り、「きらら397」並みからやや優る。
- 玄米品質は両品種並みで検査等級はわずかに劣る。粒厚は「きらら397」に近い。
- 食味は「きらら397」に優り、「ほしのゆめ」並みからわずかに優る。
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成果の活用面・留意点 |
- 上川(中南部)、留萌(中南部)、空知、石狩、後志、胆振、日高、渡島、および檜山各支庁管内に適応し、「きらら397」の一部に替えて10,000haの普及が見込まれる。
- 耐倒伏性が劣るので「施肥標準」をまもる。
- いもち病抵抗性が不十分なので発生予察に十分注意し、適期防除に努める。
- 割籾がやや多いので斑点米などの被害粒による品質低下を生じさせないように病害虫防除を適正に行うとともに、適期刈り取りを励行する。
- 初期分げつの発生がやや劣り、生育の遅延した年次には青米の混入による落等が懸念されるので、栽培基準の栽植密度を守り、また、成苗や側条施肥などの初期生育を促進する栽培法を心がける。
平成12年度北海道農業試験会議における課題名及び区分 課題名:水稲新品種候補系統「空育163号」(普及奨励)
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図表1 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
寒地
新品種
水稲
施肥
多収良食味
抵抗性
抵抗性遺伝子
凍害
斑点米
病害虫防除
品種
防除
良食味
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