嵐山のケヤキに大発生したヤノナミガタチビタマムシ

タイトル 嵐山のケヤキに大発生したヤノナミガタチビタマムシ
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 浦野忠久
関西支所昆虫研究室  細田隆治
上田明良
藤田和幸森林生物部昆虫管理科 田畑勝洋
発行年度 1993
背景・ねらい 景勝地である嵐山国有林で,7月ごろから遠景が茶褐色に変わるという,観光資源の価値を著しく損ねる現象が1987~91年に続けて起った(写真)。このことは観光客,市民の強い関心を呼び,マスコミにも報道されたことから,被害対策の検討が大阪営林局から関西支所に要請された。予備調査から,本被害は大発生したヤノナミガタチビタマムシ(Trachys yanoi Y. Kurosawa)(写真1)によるケヤキの葉の食害によって起こったことで,枯損木はないことが分かった。当地では1976~80年にも同様の被害があったが,一帯は歴史的風土特別保存地区,史跡名勝天然記念物の指定を受けているため薬剤による防除が困難なことから,昆虫研究室が生活環の調査とケヤキ樹幹部へのこも巻きによる越冬個体の捕獲試験を行った。今回の大発生では,さらに生態的特性を利用した防除法の検討を行った。
成果の内容・特徴 今回,種々のトラップによる生活環の調査を行ったが,前回の大発生時と同様の結果を得た。幼虫は6月~7月下旬,蛹は7月中旬~8月上旬で,7月中旬以降に成虫羽化が始まる。成虫も9月まではケヤキの食害を繰り返し,その後は樹皮下に入って越冬することが確認された。
3種類のカミキリムシ用の訪花誘引剤と粘着板を組合わせた黄色トラップの成虫の捕殺数の消長を図1に示した。誘引剤を付けたトラップの捕殺数は対照と比べ多くなく,誘引剤には顕著な誘引効果はなかった。しかし,8月中旬から9月上旬には比較的多くの成虫が捕れ,相対的な個体数の把握による発生消長調査や防除効果判定に用い得ることが分かった。さらに,ケヤキ樹幹へのこも巻きによる防除の有効性について,3種類の材質で試験を行った結果,ヤシ皮の半数に多くの越冬成虫が捕獲され(図2),有効性が再確認された。
嵐山では10年ぶりにヤノナミガタチビタマムシが大発生したが,5年後には自然に終息した。京都の市街地ではケヤキ並木もみられるが,本種の大発生の報告はこれまでない。従って,嵐山で大発生が起きる要因と,数年後には終息する要因については今後検討を要する。

図表1 212356-1.jpg
図表2 212356-2.jpg
図表3 212356-3.gif
図表4 212356-4.gif
カテゴリ 病害虫 防除 薬剤

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