ノウサギの採食生態と食害防止法の検討

タイトル ノウサギの採食生態と食害防止法の検討
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 企画調整部企画室  山田文雄関西支所鳥獣研究室 北原英治
発行年度 1993
背景・ねらい ノウサギLepus brachyurusは体垂2~3kgの中型草食獣で,比較的多い個体数と広い生息分布及び激しい造林木食害を起こすために,主要加害獣の一つにあげられる。近年の林業経営低迷状態の中で,有効でかつ低コストの食害防止技術が求められている。本研究では,ノウサギの餌選択や餌植物における造林木の位置づけなどの採食生態や食害発生メカニズムなどの基礎的研究に基づき,食害防止法の検討を行った。
成果の内容・特徴 ノウサギ出現数は植栽初期に多く,またヒノキ造林木への食害は植栽初期に最も多く6~9年生ぐらいまで発生した(図1)。林床植生量は植栽初年に最少で3~6年で最大となり造林木のうっ閉とともに減少した。このような状況において,ノウサギは出現植物の50%以上と非常に多種類の植物を餌にしていた。このうち,餌としてかじり取った部分をイネ科や草本類では採食したが,ヒノキ造林木などの木本類では採食しない場合が多かった(表1)。木本類では直径3~4mm以下の枝を採食したが,直径の増加につれて採食剖合は減少するとともに切断割合は増加し,直径7mm以上の枝で樹皮を剥皮し採食した(図2)。栄養的にみると,繊維成分やリグニンを多く含み,粗タンパク質量の少ないヒノキ造林木は,他の植物に比べて栄養的にかなり低く位置づけられた。このように,ヒノキ造林木はノウサギの餌としてあまり重要でないことが分かった。植栽初期には造林木が地披植物量の多くを占めるため,ノウサギによる造林木食害を受けやすくなると考え,植生量を違えた造林地を隣接して設定し,食害低減効果の野外実験を行った(表2)。ノウサギの出現数はほぼ同様にもかかわらず,植生量の少ない造林地に比べて,植生量の多い造林地の食害率は1/4~
1/2(枯損率で1/3~l/2)に減少し,食害低減効果が認められた。ノウサギは高栄養価の餌植物に加えて,手に入れやすい(利用率の高い)低栄養価の植物をも餌にするという適応能力とともに,切断行動という特異な採食行動のために,ヒノキ造林木の食害率を高めている。食害を防止するには,ノウサギの出現数を低下させるとともに,造林木の採食利用率を低下させ,切断行動を阻止することが重要と考えられる。

図表1 212359-1.gif
図表2 212359-2.gif
図表3 212359-3.gif
図表4 212359-4.gif
カテゴリ 経営管理 低コスト

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