山岳地における植生帯の移動条件に関する研究

タイトル 山岳地における植生帯の移動条件に関する研究
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 大丸 裕武
池田 重人
梶本 卓也
発行年度 1995
背景・ねらい 近年様々な分野で地球温暖化の影響予測が活発に議論されているが、その多くは現在における気候条件との関係の理解が基礎となっている。ところが、中部・東北日本の山岳地は世界第1級の強風地帯であり、多雪地帯である。ここには気温だけでは説明が出来ない様々な現象が出現する。いわば”世界の山岳の特異点”となっている。この世界第1級の雪と強風が織りなす”山頂現象”をいかに正確に理解して気候変動との関係を把握するか、が日本の山岳地における温暖化影響予測の重大なポイントであり、本研究の目的である。
成果の内容・特徴 山頂部では強風によって雪が吹き払われ、雪布団のない地面は深く凍結する。奥羽山地の源太ヶ岳の山頂部(1545m)では、凍結は最大で40cm以上に達した(図1、写真1)。このような場所には、強風に強いハイマツ群落が分布する。対照的に、アオモリトドマツ群落では土壌凍結がみられない。林内の積雪が寒気をやわらげ土壌凍結の進行を妨げていると考えられる。このように、強風による著しく不均質な積雪分布が、多様性に富む環境と植生分布を作り出している。反対に山頂部の風下側斜面には、多量の雪が堆積して雪渓となる(写真2)。雪渓の周辺では、短い生育期間と融雪水による過湿な環境に適応した雪田植生が発達する。
温暖化は、このような東北の山岳景観にどのような影響を与えるだろうか。残念ながら、現在の温暖化シナリオは気温が中心で、風速や降雪量についてのデータは不十分なため、これだけでは日本の山岳地の将来を占うのは難しい。ここで、過去の温暖期に雪や風の環境がどう変化したかを知ることが重要になる。奥羽山地笊森山(1541m)の雪田(写真3)に見られる埋没泥炭は、10世紀頃には夏季の残雪は現在より10mも小さく、雪どけも早かったことを物語っている(図2)。10世紀頃の気温上昇はせいぜい1℃程度とされているが、この程度の温暖化では、融雪速度はあまり変化しない(図3)。しかし、現実には残雪規模は、毎年大きく変動している(図2)。計算値と現実との著しい差は、過去の残雪の縮小が、吹きだまり量の減少によることを示すもので、日本の山岳地をとりまく雪や風の環境が、地球規模の長期的な気候変動に敏感に反応して大きく変動していることを示している。
なお、本研究は環境庁地球環境研究総合推進費(地球温暖化)による。
図表1 212410-1.gif
図表2 212410-10.png
図表3 212410-11.png
図表4 212410-12.png
図表5 212410-2.jpg
図表6 212410-3.jpg
図表7 212410-4.jpg
図表8 212410-5.gif
図表9 212410-6.gif
図表10 212410-7.png
図表11 212410-8.png
図表12 212410-9.png
カテゴリ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる