岩手県中部の混交林における繁殖鳥類群集の長期変動

タイトル 岩手県中部の混交林における繁殖鳥類群集の長期変動
担当機関 森林総合研究所
研究期間
研究担当者 鈴木 祥悟
中村 充博
由井 正敏
発行年度 1997
背景・ねらい 森林生態系を保全するためには、現況を明らかにすることと同時に、その変動をモニタリングし、生態系の維持機構、遷移の実態や人為的影響の度合いを把握することが求められる。森林に生息する動物については、生息状況や動向を把握することが困難なものが多いが、繁殖期の鳥類については比較的容易に生息種数や密度を明らかにできる。また、鳥類は森林生態系の中で食物連鎖の高位に位置していることから、その生息動向は環境変化の指標として有効に用いることができると考えられる。このような観点から、繁殖鳥類群集調査を長期間継続し、その実態を明らかにした。
成果の内容・特徴 調査地は、岩手県盛岡市近郊の滝沢村にある岩手県森林公園野鳥観察の森で、1970年以来毎年「なわばり記図法」により繁殖鳥類群集を明らかにしてきた。この調査地は、1985年までは当所所属の滝沢鳥獣試験地であった。植生は、1910年頃植栽されたアカマツを上木とし、カスミザクラ、コナラやミズキ等が混生する混交林で、階層構造が発達している。調査を開始した1970年以来、上層木はほとんど伐採されず、また、周辺環境も全体として大きな変化はなかった。

全種合計のなわばり密度は、調査期間27年を9年ずつⅠ前期(1970~1978)、Ⅱ中期(1979~1987)、Ⅲ後期(1988~1996)の3期に分け、おのおのの期間内で28ha当たり密度の平均値を計算すると、年によるばらつきはあるものの、各期間の間で有意差はなかった。一方、試験地内で繁殖期になわばりをもった種類はⅢ期に減少した(図1)。

優占上位3種は調査期間を通じて変化が少なく、近接する調査年の間では優占度構成に有意差は見られなかったが、調査初年の1970年と1996年では優占度構成に大きな有意差が見られ、繁殖鳥類群集は27年の間に徐々に変化し最終的には当初とはかなり違った構造になったといえる(図2)。

種類ごとのなわばり数の変化はさまざまであったが、移動区分や環境選択性によって分類すると、定向的に増加あるいは減少するものが多く、安定しているものはむしろ少ないことが明らかになった(表1)。

今回紹介したデータは、1調査地の調査結果に過ぎないが、欧米に比べ固定調査地での長期にわたる綿密な生息数の調査例が非常に少ない我が国においては、さまざまの面で参考になるものと思われる。このような調査が、全国各地で実施されることが望まれる。
図表1 212460-1.gif
図表2 212460-2.gif
図表3 212460-3.gif
図表4 212460-4.png
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カテゴリ 繁殖性改善 モニタリング

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