森林所有権の移動の実態と影響が明らかになる

タイトル 森林所有権の移動の実態と影響が明らかになる
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 駒木 貴彰
垂水 亜紀
林 雅秀
田中 亘
都築 伸行
山田 茂樹
発行年度 2006
要約 全国の森林組合等を対象にした調査によって、森林所有権移動の地域性や要因が明らかとなりました。今後、国や自治体が講じるべき対策として、森林組合による森林売買の仲介機能の強化や森林購入資金の低利融資制度の拡充などを提案しました。
背景・ねらい 昭和55年以降、長期にわたって木材価格が低迷し、森林所有者の森林経営意欲は次第に衰えてきています。そのため、除間伐など森林の手入れに必要な作業をしないだけでなく、森林所有権そのものを売却する事例も目立つようになっています。森林所有権が経営意欲のある事業体に移動して、引き続き適正な管理ができれば問題はないわけですが、再造林すべき伐採跡地が放置されたり産業廃棄物の違法投棄場所になるなど、地域の林業振興や生活環境保全にとって大きな問題となるケースも増えています。
そこで本研究は、森林所有権の移動の実態を全国的規模の調査によって明らかにし、国や地方自治体が講じるべき方策を提案することを目的に実施しました。
成果の内容・特徴

実態調査の結果

平成16年と17年の2カ年にわたって全国の森林組合に対して所有権移転の実態把握のためのアンケート調査を行うとともに、関係者への面接により森林売却の理由を調べました。
  1. 主な森林売却および購入階層
    長期間にわたる木材価格低迷を主な要因とする林業への関心の低下や林業後継者がいないなどの理由により、所有森林面積20ha未満の小規模な林家層を中心に森林の売却が行われていました。特に、北海道や九州では不在村所有者が売却する事例が多くみられました。
    一方、森林を購入する階層は、森林所有規模が50ha以下の小中規模の林家や素材生産業者を中心とする林業関連企業、林業とは接点のない他業種の企業や地方自治体等でした。特に、四国や九州では素材生産業者が森林を購入する場合が多くみられました。
  2. 森林の売買価格
    森林(土地と立木)の売買価格には幅がありました。北海道、東北、関東そして九州では50万円/ha以下、また北陸・中部、中国・近畿、四国では100万円/ha以下という価格が主体でした。こうした森林の売買価格の違いは、売買の対象となった樹種や林齢、立地条件、地域的な林産業の成立の歴史、そして購入者側の思惑など、さまざまな要因が関わっていると考えられます。ただ、この売買価格帯から明らかなことは、育林投資が回収できないほど低い価格で森林が売買されているということです。
  3. 森林売買後の森林の取り扱い
    森林売買に伴い売却された森林に対して皆伐作業が行われた場合、皆伐後3年以上再造林が行われない傾向がみられました。特に、負債整理を目的に皆伐した場合や素材生産業者が購入した森林を皆伐した場合などに再造林放棄が目立つようです。

今後の対策

森林の適正な管理を継続するという観点から、経営意欲を失った森林所有者から意欲ある経営者層に経営委託や所有権の移動を促す必要があります。そのためには、森林組合に対する森林売買取引情報の集約と仲介機能の強化を図る必要があります。また、施業計画を実行できない所有者に対しては、補助金支給の停止や経営委託勧告など強制力のある措置を講じて、意欲ある事業体に森林を集中させることも考えるべきでしょう。それには、森林購入資金の低利融資制度の拡充が効果的です。

本研究は、交付金プロジェクト「森林所有権の流動化が森林管理と中山間地域の活性化に及ぼす影響の解明」による成果です。
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カテゴリ 経営管理 中山間地域

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