レブリン酸収率の画期的な向上

タイトル レブリン酸収率の画期的な向上
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 山田 竜彦
久保 智史
発行年度 2006
要約 木質バイオマスを総合的に利用する新しいシステムとして、バイオプラスチック等へ変換可能な有用基礎化合物として世界的に有望視されているレブリン酸を木材から高収率で製造することに成功しました。
背景・ねらい 化石資源に依存した社会から、生物資源(バイオマス)に立脚した循環型社会への転換が世界的に求められています。森林総合研究所では、植物バイオマスから製造できるレブリン酸という物質に注目しました。レブリン酸は、様々な製品の原料となる基礎化学物質として有望視されています。代表的な製品としては、燃料添加剤、除草剤、プラスチックなどが考えられています(図1)。また、レブリン酸は、2004年に米国エネルギー省により開発のターゲットとすべき植物由来の有用基礎化合物の一つとしても選定され、世界的にその製造・利用技術の開発が注目されています。
今回、木質バイオマスを総合的に利用するバイオリファイナリーシステムとして加溶媒分解法をとりあげ、エチレングリコールをスギ木粉に対して高い割合で用い、縮重合反応を抑制することで、レブリン酸収率を理論値の81%まで高めることができました。
成果の内容・特徴

レブリン酸を製造する新システム

木質バイオマスからレブリン酸を製造する方法には、従来から酸加水分解法が検討され、2段階の特別な連続耐圧反応装置を用いて木質バイオマスを処理することでレブリン酸を高収率(70%)で生産できることが報告されています。しかし酸加水分解法では、木材中に約20~35%含まれているリグニン成分が酸で縮合してしまい、マテリアルとしての利用が困難です。森林総合研究所では、木質バイオマスを余すことなく利用するため、高収率でレブリン酸を製造すると同時に、リグニンも有効利用できる方法を研究しています(図1)。

レブリン酸生成メカニズムの解明

開発当初、我々の方法によるレブリン酸の生産収率は、理論値の20~30%程度と低いものでした(表1)。そこで、収率を改善するためにモデル化合物を使ったレブリン酸生成反応の詳細な検討を繰り返し、ヒドロキシメチルフルフラール等の反応中間体の反応性に収率向上の鍵があることをつきとめました(図2)。反応中間体が高濃度で蓄積されると反応中間体同士が互いに反応し、大きな分子を形成(縮重合反応)するため、レブリン酸の収率が低下することが分かりました。したがって、レブリン酸の収率向上には、反応条件を厳密に制御し縮重合反応を抑制する必要があることが分かりました。

レブリン酸生成収率の改善

以上の考えに基づき、酸加水分解法と同様に反応を2段階で制御することで、収率を50%程度まで改善できることをつきとめました(表1)。さらに、加溶媒分解試薬としてエチレングリコールを高い割合で用いることで、縮重合化合物の生成を高度に抑制できることが分かり、スギ木材を用いた試験では、理論値の81%の収率を達成できました。このことにより、特別な装置を必要としない方法で、木質バイオマスを原料としたレブリン酸の高収率生産が可能となりました。本研究のような簡便な常圧下の加溶媒分解処理で高収率が達成できたことは、学術的にも意義深く、バイオマスからの効率的レブリン酸製造法として期待されています。

詳しくは:山田竜彦、小野擴邦、栗本康司「リグノセルロースの有効利用方法」特開2004-083482をご覧ください。
図表1 212695-1.gif
図表2 212695-2.gif
図表3 212695-3.gif
カテゴリ 病害虫 除草剤

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