| タイトル | 樹木の成長に必要な窒素を、土壌はいつ、どこで、どのくらい供給するのか? |
|---|---|
| 担当機関 | (独)森林総合研究所 |
| 研究期間 | |
| 研究担当者 |
平井 敬三 野口 享太郎 金子 真司 高橋 正通 |
| 発行年度 | 2008 |
| 要約 | 植物の成長や渓流水質の形成に深く関わる森林土壌中での窒素無機化量の変動を調べた結果、これまでわずかであるとされてきた冬季や下層土でも多くの窒素が無機化していることを明らかにしました。 |
| 背景・ねらい | 大気の約8割をしめる窒素ガスは樹木に必須の養分ですが、窒素を直接固定する生物を除けば利用できません。そのため、樹木は土壌有機物の分解過程である無機化によって土壌中に供給された無機態窒素を根系から吸収します。これまでは土壌を室内で一定条件により培養して得た無機態窒素量を、窒素供給量の指標としていました。では、実際に現地では、土壌は、いつ、どの深さから、どのくらいの窒素を無機化によって供給しているのでしょうか? そのため、土壌を深さ別に現地で採取して、再びその場に埋め戻す方法を使って、季節及び深さごとの土壌の窒素無機化量を求めました。 |
| 成果の内容・特徴 | 土壌窒素は、いつ、どこで、どのくらいの量が無機化しているか?調査は茨城県城里町の斜面上部に広葉樹林が、斜面中部から下部にスギ林が分布する小流域で行いました。土壌窒素の無機化量は気温の高い6~8月の夏季に多く、これに9~10月の無機化量を加えると、この期間に年間の48~65%が無機化されることがわかりました(図1)。つまり、土壌は樹木の成長が活発なこの時期に多くの窒素を供給する役割を持つといえます。しかし、気温が低く樹木による窒素の吸収が少ない11~2月の冬季にも年間の10~32%が無機化していました。今回は深さ50cmまでを対象として測定しましたが、これまでの研究では20cm以深の下層土での窒素無機化がわずかであると想定してほとんど無視され、20cmまでの表層土の測定に限られてきました。しかし、今回の測定結果をみると、実は全体の30~43%が深さ20~50cmの下層土で無機化されていることがわかりました(図2)。 窒素無機化量を季節や深さごとに求めることがなぜ大切なのか?この測定は冬季の気温が比較的高く土壌が凍結しない茨城県中部の低山地域で行いました。そのため、冬季の窒素無機化の割合も相対的に多くなっていました。また、下層土でも多くの窒素が無機化されることがわかりました。このことから、より正確に土壌窒素の無機化を量的に把握するには、冬季や下層土の測定が必要といえます。今回対象とした森林流域では、冬季の渓流水を通じた窒素の流出量は少なく、冬季の降水量も多くありません。したがって、冬季に無機化した窒素はそのまま春まで土壌中に残存して、春先の成長を開始する時期に樹木が吸収していることが考えられます。このようにこれまであまり注目されてこなかった冬季や下層土で土壌窒素の無機化量を把握し、その量的な変動の重要性を提起したことにより、渓流水の水質形成や樹木吸収メカニズムの解明に新たな視点を示したものといえます。また今回は、"どの時期にどのぐらいの窒素が土壌から供給されるのか" が、わかりました。今後は樹木成長を季節ごとに測定することで、土壌窒素の供給と樹木吸収の季節性の対応関係が明らかになります。 本研究の一部は農林水産技術会議事務局および森林総合研究所交付金プロジェクト「森林・農地・水域を通ずる自然循環機能の高度な利用技術の開発」および一般研究費による成果です。 詳しくは平井敬三他 (2007) 森林立地 49(1):51-59をご覧下さい。 |
| 図表1 | ![]() |
| 図表2 | ![]() |
| 図表3 | ![]() |
| カテゴリ |
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