タイトル | 出荷前および輸送中のスクロースと抗菌剤処理によるバラ切り花の品質保持期間延長 |
---|---|
担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所 |
研究期間 | 2004~2007 |
研究担当者 |
鎌田展生(千葉暖地園芸研) 高濱雅幹(北海道花野菜技術センター) 紺谷均(和歌山暖地園芸センター) 市村一雄 前田嘉洋(クミアイ化学工業) 湯本弘子 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 出荷前およびバケット輸送中のスクロースと抗菌剤処理により、バラ切り花の品質保持期間は延長する。北海道、和歌山県および千葉県からの実送試験において、スクロースと抗菌剤による品質保持効果は確認された。 |
キーワード | 抗菌剤、スクロース、バケット輸送、バラ |
背景・ねらい | バラ切り花は糖質の不足と水分収支の悪化により品質保持期間が短縮する。近年普及しつつあるバケット輸送では、輸送中に品質保持剤の処理をすることが可能である。そこで、スクロースと抗菌剤の出荷前およびバケット輸送中の処理によるバラ切り花の品質保持技術を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1.2%または4%スクロースと抗菌剤(有効成分として5.7mg L-1 5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2mg L-1 2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンおよび50mg L-1 硫酸アルミニウムを含む)を組み合わせた薬剤を、出荷前に10℃で24時間および輸送シミュレーション中に15℃で48時間処理することにより、バラ「ローテローゼ」切り花の品質保持期間は延長する(表1)。スクロースと抗菌剤処理により花径と新鮮重も増大する。 2.バラ「サフィーア」、「シャネル」、「ニューブライダル」および「マイスノー」切り花においても、2%スクロースと抗菌剤の処理により品質保持期間は有意に延長し、花径も増大する(表2)。 3.スクロースと抗菌剤の効果を実証するため、2006年9月に実際の流通ルートで北海道から東京の市場にバラを輸送した場合(平均輸送気温22℃)も、スクロースと抗菌剤処理により品質保持期間は延長した(図1)。効果の再現性を確認するため、2007年8月と10月に北海道から輸送した場合(平均輸送気温はそれぞれ22℃と18℃)だけでなく、輸送環境が異なる和歌山県(2007年1月実施、平均輸送気温10℃)と千葉県(2007年12月実施、平均輸送気温12℃)から実際の流通ルートで東京の市場へ輸送した場合も同様の結果が得られた。 |
成果の活用面・留意点 | 1.スクロース濃度が高く処理時の相対湿度が低いと、葉に薬害が発生する場合がある。スクロースによる薬害の発生はスクロース濃度を2%以下とし、相対湿度を90%程度とすることで防ぐことができる。なお、「ローテローゼ」は薬害が極めて発生しやすい品種であるが、図表に提示した実験では薬害の発生は認められなかった。 2.バラ切り花を保持する環境条件は23℃、相対湿度70%、照度は事務室の明るさと同程度の約600ルクス(光合成有効光量子束密度10μmol m-2 s-1)とした。 3.本試験の結果をもとに開発された品質保持剤が、2008年よりクミアイ化学工業から産地限定的に販売される予定である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 出荷調整 ばら 品質保持 品種 薬剤 輸送 |