極早生で食味良好な黄肉モモ新品種「ひめこなつ」

タイトル 極早生で食味良好な黄肉モモ新品種「ひめこなつ」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 1989~2006
研究担当者 山口正己
土師 岳
八重垣英明
末貞佑子
西村幸一
京谷英壽
三宅正則
中村ゆり
鈴木勝征
木原武士
小園照雄
内田 誠
福田博之
発行年度 2006
要約 モモ新品種候補「ひめこなつ」は、早生個体の「182-3」の自然交雑実生から選抜した。成熟日数は60日余りで、「ちよひめ」より約10日早く収穫出来る極早生であり、果肉は黄色で糖度は比較的高く、酸味が少なく食味は優れている。
キーワード モモ、新品種、極早生、黄肉
背景・ねらい 日本の早生品種は成熟に満開から70日以上を要するため、梅雨の影響を受けやすく、品質が低下しやすいという問題点を持っている。より早い時期に出荷するために施設による加温栽培が行われているが、施設費や燃料代の高騰など経営的に不安定な要因も少なくない。そこで、従来の早生品種よりさらに短期間で成熟し、梅雨の影響を回避するとともにモモの出荷時期の拡大が可能な新品種の育成を図る。
成果の内容・特徴
  1. 1989年(平成元年)に、果樹研究所育成の早生系統「182-3」((「岡山446」×「れ-40」)×「65-20」)の自然交雑種子を胚培養し、実生を獲得した。1992年(平成4年)に個体番号「246-9」を付して定植し、1995年(平成7年)に一次選抜した。2001年(平成13年)から「モモ筑波118号」の系統名で、モモ(生食用)第8回系統適応性検定試験に供試した。その結果、平成18年度落葉果樹系統適応性・特性検定試験成績検討会において新品種にふさわしいとの結論が得られた。
  2. 樹勢はやや強く、樹姿はやや直立する。開花期はやや早く、「ちよひめ」、「あかつき」等と同時期となる。花粉を有し、自家結実性で果実の着生は良好である。果実の収穫期は育成地で6月上中旬となり、「ちよひめ」、「ちよまる」より10日余り早い極早生品種である(表1)。
  3. 果皮の地色は黄色で、果面全体に縞状に紅色の着色が覆い、外観は良好である。果形は扁円形で、果面の裂果はない。果実重は平均で120g前後と小さい。果肉は溶質で肉質は中、果汁は多い。核は小さく粘核で核割れの発生が多い。糖度は12%を超え、「ちよひめ」及び「ちよまる」より多い。酸味は少なく、渋味の発生も少なく、食味は極早生としては良好である(表1、図1、図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 既存のモモ産地で栽培が可能であるが、収穫期が従来の品種に較べて極めて早いので、西南暖地の早出しモモ栽培地域の露地栽培に特に有効である。
  2. 果皮の着色が良好で裂果の発生も見られないので無袋栽培が可能である。
  3. 果実が小さく、花芽の着生が良好なので、摘らい、摘果等を早めに行うとともに、強めの結果枝を用い、果実肥大を促進する必要がある。
  4. せん孔細菌病、灰星病には罹病性であるが、通常の薬剤散布により被害を回避することが出来る。
図表1 213169-1.jpg
図表2 213169-2.jpg
図表3 213169-3.gif
カテゴリ 経営管理 栽培技術 出荷調整 新品種 せん孔細菌病 品種 もも 薬剤 良食味

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