タイトル | リンゴ「ふじ」、「つがる」の単植化に適する授粉専用品種 |
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担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2004~2007 |
研究担当者 |
工藤和典 守谷友紀 猪俣雄司 別所英男 和田雅人 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 「Malus baccata 79091」、「Makamik Crab」、「Sentinel Crab」、「M.×atrosanguinea 20004522」、「Redbud Crab」、「Snowdrift Crab」の6品種は、「ふじ」及び「つがる」と交雑親和性が高く、開花期がほぼ同等で着花性が良好であり授粉専用品種として適する。 |
キーワード | リンゴ、単植化、「ふじ」、「つがる」、授粉専用品種 |
背景・ねらい | 近年農薬取締法が改正され、収穫時期の異なる品種を混植して相互に授粉樹として利用する従来のリンゴ栽培法は、果実への農薬のドリフトが問題となるため、単一の品種のみを経済栽培する「単植化」に対する生産者の要望が高まっている。また、「単植化」は作業の単純化が可能となるため、省力化技術としても注目されている。リンゴの単植化には花粉源としての授粉専用品種を園地に導入する必要があるため、主要品種である「ふじ」及び「つがる」に対する授粉樹として適性の高い授粉専用品種を選抜する。 |
成果の内容・特徴 | 1.「M. baccata 79091」、「Makamik Crab」、「Sentinel Crab」、「M.×atrosanguinea 20004522 」、「Redbud Crab」、「Snowdrift Crab」の花粉を人工授粉に供したときの「ふじ」、「つがる」の結実率はいずれもほぼ80%以上と高い(表1)。種子数については、「ふじ」に対して「Snowdrift Crab」、「M.baccata 79091」、「M.×atrosanguinea 20004522」で多く、「つがる」に対して「Makamik Crab」が多い。 2.「M.baccata 79091」は、「ふじ」及び「つがる」に比べて開花始めが3日早く、「Makamik Crab」及び「Sentinel Crab」は1日早い。「M.×atrosanguinea 20004522」は開花期が同等である。「Redbud Crab」及び「Snowdrift Crab」は開花始めが2日遅いが、満開期はほぼ同等である(表2)。 3.上記6品種における頂芽花及び腋芽花の着花は良好である(図1)。特に、「Makamik Crab」及び「Sentinel Crab」は頂芽花の着生が多く、「Snowdrift Crab」は頂芽及び腋芽花の着生が多い。また、隔年着花性は全般に低く、着花が安定している。 4.以上の結果から、「ふじ」及び「つがる」の授粉樹としての適性が高い「M.baccata 79091」、「Makamik Crab」、「Sentinel Crab」、「M.×atrosanguinea 20004522」、「Redbud Crab」、「Snowdrift Crab」の6品種を授粉専用品種として選抜する。満開時の花色は「Makamik Crab」は赤色であるが、その他の品種は白~淡い桃色である(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.経済品種の頂芽花の開花期を通じて十分量の花粉を供給し、単一品種による隔年着花のリスクを減らすため、開花期の異なる2品種を組み合わせて園地に導入する。S遺伝子の解析結果から「Makamik Crab」は「ふじ」に対して半和合であるが、結実率は80%以上であるため「ふじ」に対しても利用可能である。「M.×atrosanguinea 20004522」の導入時の品種名は「Atrosanguiner」である。 2.「単植化」には花粉を運ぶ訪花昆虫の利用が不可欠であるが、赤花品種へのミツバチの訪花頻度は劣る可能性があるため、訪花昆虫としてミツバチを利用している園地では赤花品種である「Makamik Crab」を授粉樹として導入しない。 3.園地に授粉専用品種を導入する場合は、リンゴ単植化の手引き(果樹研究所編)を参考とする(http://www.fruit.affrc.go.jp/)。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 病害虫 省力化 農薬 品種 ミツバチ りんご |