タイトル | 安心・安全のための生産履歴電子化技術の導入方策 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
村上則幸 森嶋輝也 喜多孝一 伊藤淳士 井上慶一 宮浦寿美 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 作目により生産履歴の記入項目数は5倍以上の開きがあるため、生産履歴作成技術を導入する場合、作成負担の大きな作目からの導入が効果的である。IT利用型の生産履歴作成技術は作付け面積が大きい、50歳代以下の若い生産者に導入しやすい。 |
キーワード | 生産履歴、IT、多変量解析、作付け面積、高齢者 |
背景・ねらい | 近年、農産物の安全性に対する消費者意識の高まりにより、農産物出荷時に生産履歴の添付を義務づけるJA等の生産組合が多くなり、その作成が生産者への新たな負担となっている。ITはその軽減に有望であるが、現状は記帳票ベースの生産履歴管理が主流であり、生産現場へのITの導入は進んでいない。そこで、生産者の求めるIT利用型生産履歴作成技術とその普及方策を明らかにするために、IT習熟度等の技術的導入阻害因子を調査・整理する。 |
成果の内容・特徴 | 1.道央のA農協における生産履歴1帳票あたりの記入項目数は、作目により項目数に5倍以上の開きがある。水稲を除く記入内容項目数では、病害虫や雑草防除関連の記入項目数目数が肥培管理関連項目と同等かそれ以上である。また、作目別ではたまねぎをはじめとする露地野菜や、多様な作型や収穫期間の長いきゅうり等の施設野菜で記入項目数の多さ(表1)や履歴提出回数の多さが生産者の負担となる。 2.A農協の水稲、畑作、露地野菜(たまねぎ)、施設野菜を主とする生産者を対象にしたアンケート調査(平成17年11月実施、配布数400、有効回答数295、PC保有率76%)結果に多変量解析(共分散構造分析、AMOS5.0使用)を適用した。年齢と作付け面積はIT習熟度(インターネット利用頻度等)を左右するそれぞれ独立した要因である。IT習熟度に対して作付け面積は正に年齢には負の影響を与えており、その影響は年齢で大きい傾向にある(図1)。 3.FAXやPC、携帯電話などのIT機器を利用する生産者は機器の種類を問わず広く利用している。また、PCと携帯電話の利用に関する相関はFAXに比べて高く、PCを利用している生産者は、携帯電話の電子メールやインターネットも利用するIT習熟度の高い生産者である(表2)。 4.上記の結果より、生産履歴作成に関するITの導入はたまねぎなど生産履歴項目多い作目や作型や収穫が長期に渡り、生産履歴提出回数が多くなる施設野菜などの生産者に負担軽減効果が高いと推察される。年齢や作付け面積は、ITを利用した生産履歴電子化技術の導入の難易を推定する指標となる。PCや携帯電話の利用者状況もIT習熟度の推定に有効であり、新たにITを利用した生産履歴管理システムを導入する場合は、これらの指標からIT習熟度の高い生産者と推定される生産者を中核とすることが必要である。 |
成果の活用面・留意点 | 1.高齢の生産者へのIT導入方法、IT習熟度の高い生産者の求める生産履歴作成電子化技術の要件については今後検討が必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 害虫 管理システム きゅうり 雑草 出荷調整 水稲 たまねぎ 肥培管理 |