環境保全的な放牧の目安となる牧区単位の適正放牧密度

タイトル 環境保全的な放牧の目安となる牧区単位の適正放牧密度
担当機関 上川農試
研究期間 2004~2006
研究担当者 奥村正敏
古館明洋
三浦周
山川政明
大塚省吾
発行年度 2006
要約 経営単位ではなく、牧区単位の放牧密度を8000頭・hrs/ha程度(昼夜放牧時2.5頭/ha)以下にすると土壌溶液中硝酸態窒素濃度が10mg/Lを越えることはなく、6000頭・hrs/ha程度(同1.9頭/ha)以下では1頭当たり採食量を十分に確保できる。
キーワード 放牧密度、延べ放牧時間、環境負荷
背景・ねらい 集約放牧における放牧密度は主に草地の生産性から設定され、環境負荷に関して牛道、水飲み場やゲート付近の点源負荷の情報はあるものの、放牧密度に関する情報は少ない。そこで本試験は、泌乳牛の放牧に伴う放牧草の採食や排糞を通じて牧区内養分収支や土壌養分、水質に与える影響を明らかにし、環境負荷発生抑制の観点から牧区単位の適正放牧密度を提示する。
成果の内容・特徴
  1. 牧区面積等に対応した入牧頭数、時間の調節が実施されない場合、単位面積当たりの延べ放牧時間(牧区における各々の日の放牧頭数と放牧時間の積を毎日積算し、牧区面積で除す)は牧区間で大きな差が見られ、放牧牛の排泄したふん尿由来N量(延べ放牧時間÷24×0.289、0.289:泌乳牛の排泄Nkg/頭/日)はN投入量(ふん尿由来Nと施肥量の合計値)に占める割合が高く(35~60%)、延べ放牧時間の長い牧区はN投入量が多い(図1)。
  2. 面積当たり採食量は延べ放牧時間6000頭・hrs/ha程度で次第に頭打ちとなり、放牧牛一頭当たりの採食量が減少する。採食量に牧草N濃度を乗じたN量をN持ち出し量とすると、延べ放牧時間6000頭・hrs/ha以上はN持ち出し量が頭打ちとなる一方、ふん尿排泄に伴いN投入量が増加し、差引である環境負荷要因の不明N量が高まる(図2)。
  3. 延べ放牧時間が長く不明N量の多い牧区は、晩秋の土壌無機態Nや融雪時土壌溶液中硝酸態N濃度が高まる傾向があり、土壌溶液中硝酸態N濃度10mg/Lを環境負荷発生の目安とすると、10mg/Lを越える場合に見られる延べ放牧時間は8000頭・hrs/ha程度(施肥Nと排泄ふん尿中Nを加えたN投入量160kg/ha)以上である(図3)。
  4. 以上、放牧地からの環境負荷発生抑止のための放牧密度の上限は延べ放牧時間8000頭・hrs/ha程度(昼夜放牧の場合、放牧期ha当たり放牧頭数2.5頭/ha)であり、牧区単位での調節が重要である。ただし、放牧地の採食量は延べ放牧時間は6000頭・hrs/ha程度(同1.9頭/ha)以上で不足する場合があり、それ以上は併給飼料を補う等の対策が必要である(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 昼夜放牧を導入する際、環境負荷から見た必要放牧地面積の設定に活用できる。
  2. 養分投入量は便宜的に施肥及び放牧地に排泄されたふん尿由来養分量の合計とした。
  3. 本成績は天北地方の灰色台地土、灰色低地土及び褐色森林土のマメ科混播草地で実施した。
図表1 213728-1.jpg
図表2 213728-2.jpg
図表3 213728-3.jpg
図表4 213728-4.jpg
カテゴリ 経営管理 施肥 乳牛

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