タイトル |
小型反射式光度計を用いた土壌硝酸態窒素の簡易測定法 |
担当機関 |
十勝農試 |
研究期間 |
2005~2006 |
研究担当者 |
佐藤康司
竹内晴信
中村隆一
中津智史
笛木伸彦
|
発行年度 |
2006 |
要約 |
RQフレックスを用いて土壌硝酸態窒素を簡易測定する場合は、風乾細土を用い、土:液比=1:2.5で水抽出し、棒攪拌・濾液採取装置で検液を得る。この測定値は、秋まき小麦の窒素吸収量と相関が高く、窒素診断に適用できる。
|
キーワード |
小型反射式光度計、土壌硝酸態窒素、水抽出、土:液比、棒攪拌・濾液採取装置
|
背景・ねらい |
通常法として、土壌硝酸態窒素はKCl 10%溶液を用いる土:液比=1:5振盪抽出液によって比色法あるいは蒸留法で測定されるが、これには高額な分析機材が必要なため、分析機関が限られる上に、測定までの行程が多く時間がかかるという問題点がある。このため、小型反射式光度計(製品名「RQフレックス」、Merck社製)を活用した土壌硝酸態窒素の簡易測定法を確立し、窒素診断技術の普及促進を図る。
|
成果の内容・特徴 |
- 同一の標準液を用いた場合、RQフレックス試験紙「硝酸テスト3-90mg/l」とオートアナライザー(AACS-Ⅱ)による測定値には極めて高い相関がある(データ省略)。
- 硝酸態窒素の添加回収試験の結果、生土における硝酸態窒素回収率は風乾土の61.6~86.4%と低く、また、砕土性も風乾土の方が優れている(データ省略)。
- 硝酸態窒素の添加回収試験の結果、抽出液による硝酸態窒素回収率にはほとんど差がないことから調整の容易なH2Oを抽出液とすることは適当である(図1)。
- 硝酸態窒素の添加回収試験の結果、土:液比については、土の割合を高くすると(土:液比=1:1)、硝酸態窒素回収率は低下するが測定濃度は高い(表1)。一方、抽出液の割合を高くすると(土:液比=1:5)、逆に硝酸態窒素回収率は高まるが測定濃度が低くなる。実規模レベルでの測定誤差や作業性を考慮すると土液比は1:2.5が適当である。
- 棒攪拌・濾液採取装置により採取された土壌硝酸態窒素は従来の機械振盪・濾紙採取による硝酸態窒素の値とほぼ同等であった(データ省略)。
- 以上の知見と簡便性を勘案して設定した硝酸態窒素を簡易に測定する手順を図2に示す。また、簡易法による分析値と通常法の分析値は相関が高く、通常法の分析値=1.44×簡易法の分析値+2.21と表される(図3)。なお、本方法は、現地圃場において、実規模レベルで利用可能なことが検証されている。
- 簡易法によって得られた土壌硝酸態窒素量に基づいた窒素供給量と秋まき小麦の窒素吸収量と相関が高いことから、簡易法は無機態窒素診断に適用できる(図表省略)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 本成績は道東に分布する火山性土、低地土、台地土、泥炭土を用いて検討した。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
図表4 |
|
カテゴリ |
簡易測定
小麦
診断技術
|