タイトル |
ブレンド適性に優れる超強力秋まき小麦「北海259号」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
1997~2007 |
研究担当者 |
田引正
西尾善太
伊藤美環子
山内宏昭
高田兼則
桑原達雄
入来規雄
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発行年度 |
2007 |
要約 |
「北海259号」は耐倒伏性に優れる超強力秋まき小麦である。「ホクシン」等の中力小麦とブレンドすることにより、優れた製パン適性を示す。
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キーワード |
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背景・ねらい |
「超強力」小麦粉はその強すぎる生地物性のため、これまで国内ではあまり注目されていなかったが、現在生産が拡大しつつある冷凍生地製パンに適することや国産小麦にブレンドすることでその脆弱な生地物性を改善し、強力粉として利用できることなどが明らかにされており、国産小麦の用途・消費拡大に寄与することが期待されている。超強力小麦としては「北海260号(勝系33号)」がすでに開発されているが、耐倒伏性が劣るため生産はされていない。そこで、実需者の小規模な契約栽培による生産が可能な耐倒伏性の優れる超強力小麦を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 「北海259号」は秋まき硬質のパン用品種育成を目標に、「札系159号」と「KS831957」のF1を母とし「月系9509(後のキタノカオリ)」を父として行われた人工交配から選 抜・固定を行ったものである。
- 「北海259号」の特性(「キタノカオリ」との比較、特性の十分な理解のため北海道の基準品種「ホクシン」の特性についても記載;表1)
1)出穂期は3日早く、成熟期はほぼ同程度である。 2)稈長はほぼ同程度で、穂長はやや短く、穂数は少ない。耐倒伏性はほぼ同程度である。 3)耐雪性はほぼ同程度で、赤さび病抵抗性・うどんこ病抵抗性・赤かび病抵抗性・耐穂発芽性は同程度である。コムギ縞萎縮病抵抗性はやや優れる。 4)収量性はやや低く、容積重はやや小さく、千粒重は同程度である。外観品質はやや劣る。 5)粉質は硝子質、製粉歩留は同程度で、ミリングスコアはやや高い。 6)60%粉の粗蛋白質含量・灰分含量はほぼ同程度で、小麦粉の黄色味は低い。 7)エキステンソグラムによる生地の物理的性質は、生地の力の程度(面積)がやや大きく、伸張抵抗がやや大きい。生地の物性は強く、小麦粉の性質は超強力である。
- ホクシン(中力小麦)と等量ブレンドすることにより「キタノカオリ」以上の優れた製パン適性となる(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 北海道の秋まき小麦栽培地帯に適応する。
- 耐穂発芽性が劣るため適期収穫に留意する。
- ブレンド用であるので、蛋白含量が低くならないように肥培管理に努める。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
萎縮病
うどんこ病
小麦
消費拡大
抵抗性
肥培管理
品種
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