タイトル |
小麦胚芽を用いたγ-アミノ酪酸(GABA)の効率的生産法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
遠藤千絵
橋本直人
山内宏昭
斉藤勝一
瀧川重信
鈴木達郎
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発行年度 |
2007 |
要約 |
小麦胚芽をGABA合成酵素源とし、グルタミン酸ナトリウム量、ピリドキサルリン酸量、反応液pH、反応温度および反応時間を最適化することによりGABAを効率的に合成できる。合成したGABAをスプラウトへ施用することで、GABA高含有スプラウトを生産できる。
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キーワード |
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背景・ねらい |
γ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid(GABA))は、神経伝達物質作用を示すアミノ酸であり、生体内ではグルタミン酸脱炭酸酵素(GABA合成酵素)によってグルタミン酸から生合成される。このGABAには血圧降下作用、精神の安定化作用(抗ストレス作用)等の生理作用が報告されている。現在GABA関連食品が数多く市販されているが、その原料価格は高く、GABAは高額で取引されているのが現状である。そこで、GABA合成酵素活性があるとされる小麦製粉工程で得られる小麦胚芽を利用して、従来品より安価なGABAの生産技術を開発し、生産したGABAの施用によるGABA高含有野菜スプラウトを生産する。
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成果の内容・特徴 |
- GABA生成率は市販小麦胚芽が99.7%と最も高く、次いで小ブスマ94.3%、米ぬか69.7%である。GABAの生成量はグルタミン酸量に依存し、100 g/l(グルタミン酸Naとして114.9 g/l)添加することによって、66.2 g/lのGABAが得られる。またGABAの生成量はピリドキサルリン酸量に依存し、100 mg/l以上添加することによって、99%以上の生成率が得られる(表1)。
- 小麦胚芽中のGABA合成酵素活性は反応液pH5.8で最も高く、反応温度40℃で最も高い(表2)。
- GABAの生成率は反応3~4時間でほぼ100%となり約45 g/lのGABAが得られる。その後、生成率はほぼ100%を維持するが反応7時間以上では反応液の酸化、雑菌の増殖等による反応液の色、風味の劣化が起こる(表3)。
- 水耕栽培のカイワレダイコン、ブロッコリー、ソバおよびダッタンソバのスプラウトは給水のみの場合でも1~10 mg/100gFWのGABAを含有するが、10 g/lの濃度に調整したGABA液を50 ml、16時間水耕施用することで約40~80 mg/100gFWに増加する(図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 合成反応及びGABA液の分離に際し攪拌機、恒温器、遠心機等の機材が別途必要となる。
- 本成果におけるGABA生産に関わる原料コストはGABA1kgあたり3808円である。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名及び区分 「小麦胚芽を利用したγ-アミノ酪酸の効率的生産方法とスプラウトへの応用」(研究参考)
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図表1 |
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カテゴリ |
かいわれ
コスト
小麦
水耕栽培
そば
だいこん
ブロッコリー
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