タイトル |
チューリップのウィルス様症状の発生と発病に及ぼす要因 |
担当機関 |
富山県農業技術センター |
研究期間 |
1996~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
チューリップのウイルス様症状は微斑モザイク症状と条斑症状に分けられ、両者とも土壌と球根で伝染する。検定植物の反応から、両者は異なる病原に起因する。品種間の発病差異が認められる。発病は球根の遅植えで抑制され、土壌の多湿条件で助長される。
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背景・ねらい |
県内で発生しているウイルス様の病害(以下,ウイルス様症状)は,当初ウイルス粒子が検出されなかったため,原因が不明のまま発生面積は拡大を続け,最も重要な病害の一つとなっている。そこで,本病の病徴や検定植物の反応を整理するとともに,伝染方法や発病に及ぼす諸要因を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- (1)ウイルス様症状は病徴から、微斑モザイク症状と条斑症状の2つに区別される。検定植物の反応の違いから、両症状は異なる病原に起因する(表1)。
- (2)両症状は、土壌と球根で伝染する。広い範囲の品種群(微斑モザイク症状45品種、条斑症状65品種)で発生が認められるが、品種間に発病率(球根伝染率を含めて)の差が認められる(表2)。
- (3)通常、汚染土壌に植え付けて症状が現れるのは、微斑モザイク症状は翌春以降、条斑症状は翌々春以降である。
- (4)微斑モザイク症状の発病は、汚染土壌をクロールピクリン剤、ダゾメット剤や高圧滅菌の各処理を行うことによって抑制される。
- (5)両症状の発病は、球根の植え付け時期が11月中旬以降であったり(図1)、植え付け後の温度が低い場合に抑制される。
- (6)微斑モザイク症状の発病は、硫黄で汚染土壌pHを5以下に酸性化すると抑制される(表3)。
- (7)微斑モザイク症状の発病は、土壌の多湿条件で助長される。
- (8)汚染土壌の夏季の乾燥処理は両症状の発病に影響しない。
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成果の活用面・留意点 |
- (1)健全圃場に無病の種球根を植え付けることが防除の基本である。また、問題となりがちな品種は、排水の良好な圃場に遅植えするか、作付けをやめる。発病株は見つけ次第抜き取る。
- (2)白色、黄色の品種では、微斑モザイク症状の花弁の病徴が現れないことから、葉の病徴から感染の有無を判断する。
- (3)硫黄を用いた土壌pHの酸性化はチューリップの生育を著しく抑制することから、防除に用いることはできない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
乾燥
くり
栽培技術
チューリップ
品種
防除
モザイク症
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