タイトル | にほんなし新品種「なつひかり」 |
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担当機関 | 千葉県農業試験場 |
研究期間 | 1995~1995 |
研究担当者 | |
発行年度 | 1995 |
要約 | 「新水」×「長水」の交雑により、にほんなし新品種の「なつひかり」を育成した。「幸水」と「豊水」の間の8月中~下旬に成熟する中生赤ナシ品種で、高糖度、多汁、大果性を示し、玉ぞろいは良好で、外観は美麗である。 |
背景・ねらい | 千葉県におけるにほんなしの品種構成は「幸水」と「豊水」に偏っており、大きな問題となっている。さらに、年により「幸水」は花芽の着生不良や収穫期前の裂果の発生が、「豊水」は収穫期にみつ症の発生がみられ、生産の不安定要素となっている。これらの問題を解決するためには、本県の立地条件に適した新品種を育成する必要がある。 |
成果の内容・特徴 | 1育成経過:昭和52年4月に「新水」を母とし、君塚万蔵氏育成の「長水」を父として交雑を行った。本品種は昭和57年に初結実し、特性調査の結果、「なつひかり」と命名され、平成7年9月14日付けで登録番号第4729号として品種登録された。 2 樹:樹勢は中位で「新水」より弱く「豊水」程度で、成木の樹姿は「長十郎」にやや似ている。えき花芽及び短果枝の着生は中程度で「幸水」より良い(表1)。開花期は「幸水」と同時期かやや遅く、葯は淡紅色で花粉量は多い。 「筑水」及び「若光」以外の主要品種とは交雑和合性である(データ省略)。果実の成熟期は8月中~下旬で「幸水」とほぼ同時期であるが、収穫盛は「幸水」より6日遅い。「豊水」より収穫盛は11日早い。また、収穫盛までの収穫所要日数は 131日であった。 3実:果形はほぼ扁円形で整っている。果実は大きく、350g程度で、玉ぞろいはよい。 果皮の色は黄褐色、果面は滑らかで光沢がある。果心の形は円心臓形で、大きさは小さい。果肉の色は白色、硬度は 4.5lbs.で、肉質は「新水」より軟らかく、「幸水」よりやや粗いが、多汁で歯切れがよい。糖度は13%程度と高く、果汁pHは 4.9でやや酸味が感じられる(表3)。果実の貯蔵性は室温で7日程度であり、「幸水」と同程度である。みつ症の発生はみられず、裂果はほとんど発生しない。心腐れが年により若干発生する(表3)。 4 栽培性:収量は「幸水」より多収であると考えられる。黒斑病の発生は認められず、黒星病の発生も少ない。えそ斑点病に対しては病徴非発現性である。 |
成果の活用面・留意点 | 種苗法に基づく登録品種であるので苗木、穂木の取扱いについては種苗法に従う。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 黒星病 新品種 品種 |