タイトル |
二度切りが早期加温ハウスぶどう「デラウエア」、「キングデラ」の樹勢・花穂着生・果実品質に及ぼす効果 |
担当機関 |
山梨県果樹試験場 |
研究期間 |
1995~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
二度切り(収穫後に再せん定する技術)は、「デラウエア」、「キングデラ」で樹勢回復、花穂の増加、品質向上効果が認められ、実施時期は6月が適期であった。
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背景・ねらい |
ぶどうの早期加温栽培では、連年続けると樹勢の低下、花穂の着生不良が見られ問題となっている。そこでこれら問題を解決するため、収穫後に再せん定し、新たに次年の結果母枝を作り直す"二度切り"技術が有効かどうか、次年度の生育に対する効果を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 3年生の「キングデラ」を5~7月に二度切りし、その後の生育を見た。その結果、6月処理は慣行栽培に比べ、(1)次年の発芽が早くかつ揃う、(2)新梢の生育が良い、(3)花穂が多い、(4)花穂が大きい等の樹勢回復効果や花穂の増加効果が認められた。また、5月処理でも花穂の増加が認められたが、7月処理は発芽が悪く、新梢が短い等生育に対しマイナス効果が見られた。(表1)
- 「デラウエア」で二度切りの効果を検討した。6月25日に二度切りを実施したところ、処理樹は(1)発芽が良い、(2)新梢の生育が良い、(3)花穂数が多い、(4)花穂が大きい、(5)果粒肥大が良い、(6)熟期が早い等生育や品質に対し極めて良好な効果が認められた。(表2)
- 「キングデラ」で二度切りの連年処理が、樹体に及ぼす影響を見た。慣行樹に比べ連年処理樹は、(1)枝が太い、(2)登熟長が長い、(3)枝中の炭水化物量が多い等の傾向が見られ、次年の生育も(1)発芽・新梢の生育が良い、(2)花穂が多い、(3)熟期が前進する等生育に対し極めて良好な結果が得られた。しかし、前年のみ処理した樹は、僅かに登熟長が長く、花穂も多い傾向が見られたが、それ以外の生育は慣行樹と差が見られなかった。(表3、表4)
- これらのことより、二度切りは早期加温栽培ぶどうの「デラウエア」、「キングデラ」樹勢回復、花穂着生改善の有効な手段である。実施時期は、6月が適期である。しかし最低夜温を18~15℃以上に保てば、5月に行うこともできる。
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成果の活用面・留意点 |
- ぶどうの早期加温栽培の樹勢回復、花穂着生向上に活用する。
- 対象作型は6月中旬以前に収穫を終わる作型である。
- 7月以降の処理は、かえって樹勢の低下を招くので実施しない。
- 実施にあたっては、(1)せん定は2芽が基本である、(2)摘葉後休眠打破を行う、(3)病害虫防除を徹底する、(4)開花までに花穂を切除する等の注意が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
樹勢回復
病害虫防除
ぶどう
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