養液土耕栽培によるスプレーギクの規格品生産

タイトル 養液土耕栽培によるスプレーギクの規格品生産
担当機関 栃木県農業試験場
研究期間 1995~1996
研究担当者
発行年度 1995
要約 間欠ドリップ方式で養液を施用することができるシステムを用いたスプレーギクの土耕栽培における養液施用管理プログラムを作成した。また、簡易栄養診断法による診断基準を併せて確立した。
背景・ねらい 切り花の施設栽培では定植時に堆肥、土壌改良資材および基肥等が過剰に施用されている。このためスプレーギクでは、連作障害の発生や、特に草姿の乱れによる品質の低下が懸念されている。そこでドリップ方式による養液土耕栽培システムを管理手段に、簡易栄養診断法をチェック手段とした、生育ステージに適した養水分管理のマニュアル化を図った。この手法により、品質の安定した家庭用規格品スプレーギク生産技術の1つとして、短期間および低コストで、あらゆる作型に適応できる養水分管理技術を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 水分管理システムは80cmベットの両端から、各20cmの位置にドリップチューブを配管する。ノズルピッチは40cmとし、水の吐出量は38ml/分とする。安定動作のために広い範囲の水圧で均一に吐出し、長期間詰まることのないノズルを用いる。
  2. 養水分施用は、5時~12時まで1時間のインターバルで計8回行う。なお、液肥施用は5時の1回のみとし、6時以降はかん水のみとする。
  3. ステージ毎のかん水量および養液成分濃度の管理は、プログラム2で行う。プログラム1では、茎長および生体重の確保ができず、プログラム3および4ではスプレーフォーメーションがやや劣る傾向にある(表2)。
  4. 植物体樹液および土壌溶液中の簡易栄養診断は、迅速養分テスト法に準じて行う。pH,ECは、コンパクトメーター(堀場)が少量のサンプルで使いやすい。植物体樹液浸出のためのサンプリング部位は、最上位完全展開葉直下の茎が適している。浸出液温は概ね20℃、浸出時間は30分とする。土壌溶液は、表層5cmを取り除き5~20cmの層位の土壌を5号鉢にとり、ひも底面吸水により24時間給水してから排出液を採取して用いる。
  5. 複数年および周年栽培による簡易栄養診断結果から、植物体樹液浸出液および土壌溶液中における無機成分濃度およびpH,ECの適正値を設定した(表3)。概ね、この値付近にあれば生育および開花は順調である。特に、硝酸およびアンモニアが適正値を超えて検出されると、側枝の伸長による草姿の乱れが起こり、品質を損ねる可能性が高くなる。適正値範囲外にある場合は、養液濃度の設定を変えるなどして、適正値に近づくように養水分管理を行う。
成果の活用面・留意点
  1. 栽培開始前は、土壌中の可給態窒素および無機態窒素量が低く抑えられるように窒素含有率の高い有機質資材や基肥窒素の施用は行わないようにする。
  2. 養液土耕栽培システムの運用にあたっては、必ず簡易栄養診断を併せて行い、土壌および植物体が適正に養水分管理されているかをチェックする。特に、土壌の種類により管理マニュアルが変わるので留意する。
  3. 簡易栄養診断の手法は、正しい方法を確実に習得する必要がある。
図表1 214885-1.gif
図表2 214885-2.gif
図表3 214885-3.gif
カテゴリ 土づくり 肥料 栄養診断 管理技術 管理システム きく 栽培技術 施設栽培 低コスト 土壌改良 連作障害

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