タイトル | 桑葉中のγーアミノ酪酸増加方法と、その血圧抑制効果 |
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担当機関 | 神奈川県農業総合研究所 |
研究期間 | 1995~1995 |
研究担当者 | |
発行年度 | 1995 |
要約 | 桑葉を窒素ガスで嫌気処理することにより、桑葉中のγーアミノ酪酸(GABA) 含量が著しく増加する。また、GABAを増加させた桑葉を自然発症高血圧ラット に与えたところ、無処理桑葉群より強い血圧抑制作用が認められる。 |
背景・ねらい | 桑葉には各種の機能性成分が含有されている可能性が高いことから、桑の新しい用途として高付加価値型の食品を開発することは、桑園の活用及び養蚕農家の新たな展開に寄与するものと考えられる。これまでに、動物実験での循環 系に及ぼす影響、桑葉の大量調整法及び桑葉を添加した食品の開発を行い、桑 葉が機能性食品として有望であることを報告した。一方、桑葉には血圧降下作 用を示すことが知られているγーアミノ酪酸(GABA)が、多く含まれていること が明らかになっている。そこで、桑葉中のGABA含量を増加させ、機能性(血圧 制御)をさらに強化させる方法と、その桑葉の生体に及ぼす影響について検討 した。 |
成果の内容・特徴 | 1 窒素ガスによる嫌気処理時間に対応して、桑葉中のGABA含量は増加する傾向にあり、24時間・室温条件下での萎凋処理により、さらにGABA含量の向上が認められる(表1)。 2 嫌気処理によるアミノ酸含量の変動は、80%エチルアルコール抽出物の場合では、無処理桑葉に比べGABA含量が18倍以上に増加した他、Gly,Ala,Leu及びTyrが著しく増加するが、AspとGluの含量は減少する。一方、加水分解物中のアミノ酸では、GABAのみが約8倍に増加し、AspとGlu含量が著しく減少する(表2)。 3 GABAを増強した桑葉を飼料に加え、自然発症高血圧ラットに連続摂餌させると、対照群及び無処理桑葉群に比較して、血圧上昇期の最低血圧を抑制する傾向にある(図1)。さらに、GABA増強桑及び無処理桑葉の摂餌下におけるラットの体重増加は順調であり、特記すべき剖検や病理所見が認められないことから、GABA増強桑の安全性が示唆される。 |
成果の活用面・留意点 | 機能を強化した桑葉は、機能性食品素材として各種の食品への利用が可能であり、新たな桑園の活用につながると考えられる。今後は、人体に対しても同様の効果が期待できるか否かを明らかにする必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | カイコ 機能性 機能性成分 桑 高付加価値 機能性食品 |