タイトル |
土壌窒素無機化予測に基づく春キャベツ跡水稲の基肥窒素施用基準 |
担当機関 |
三重県農業技術センター |
研究期間 |
1995~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
春キャベツ跡水稲では前作残渣により土壌窒素無機化量が増加する。その程度は残渣鋤込みから水稲移植までの期間が短いほど大きく、基肥無窒素でも倒伏する危険性が高い。このため、鋤込み後1ヶ月以上畑状態で放置し、基肥窒素を2kg/10a程度減肥する。
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背景・ねらい |
水田に露地野菜を導入すると土壌の肥沃度が増加し、跡作の水稲が倒伏する事例が多くあり、露地野菜による水田輪作を進める上で問題となる。そこで、野菜作が水田の土壌窒素無機化に及ぼす影響を反応速度論的手法を用いて解明し、野菜跡水稲の生産安定のための基肥窒素施用基準を設定する。
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成果の内容・特徴 |
- 中粗粒灰色低地土の春キャベツー水稲作付体系では、キャベツ残渣の鋤込みにより可分解性窒素量(N0)が増加し、無機化速度定数(k)も大きくなる(表1)。
- 特に鋤込み直後では、水稲栽培期間中の土壌窒素無機化推定量は4kg/
10a程度増加し、「コシヒカリ」では基肥無窒素でも倒伏限界窒素保有量を超える。但し、残渣を鋤込んで1ヶ月経過すれば増加量は約半減するが、倒伏を回避するには基肥窒素を2kg/10a程度減肥する必要がある。なお、残渣を圃場外に持ち出した場合は1kg/10a程度減肥する(図1)。
- 細粒灰色低地土の小麦-春キャベツー水稲輪作体系において、残渣鋤込みから水稲移植までの期間が短い場合、春キャベツ跡の土壌窒素無機化推定量は小麦跡に比べて約5kg/10a増加する(図2)。
- 同水田の土壌溶液中アンモニア態窒素濃度は、基肥無窒素でも小麦跡標準基肥区並に高く推移し、窒素吸収量も小麦跡標準基肥区とほぼ同等となる(図3)。
- 残渣鋤込みから水稲移植までの期間が短い場合、「ナツヒカリ」のような耐肥性の強い品種を用いても、基肥を無窒素にする必要がある(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 細粒及び中粗粒灰色低地土の春キャベツ跡水稲の窒素施肥基準として有効である。
- 残渣鋤込み直後に入水・代かきし、移植すると還元害による障害が発生するので、鋤込み後1ケ月以上畑状態で放置すること。
- 水稲品種は耐肥性の強い品種を選定し、疎植栽培すること。
- 中干しは早めに実施し、穂肥窒素量は葉色等の栄養診断により判断する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
栄養診断
キャベツ
小麦
水田
水稲
施肥
品種
輪作
輪作体系
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