タイトル |
組織培養によるハイブリッドカラーの幼苗の大量増殖と幼苗からの球根増殖 |
担当機関 |
山梨県総合農業試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
ハイブリッドカラーの球根の茎頂部から得られた無菌のシュートを増殖培地で培養すると、1.5カ月間で4~5倍に増殖する。これらを発根、順化後、圃場で栽培すると1年目には母球が60g前後に肥大し、2年目には母球肥大とともに子球数も増加する。
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背景・ねらい |
ハイブリッドカラーの栽培では、海外からの輸入球根を使用しているため、種苗費が高く、栽培面積の拡大が難しい。また、分球が少ないため増殖率が低い。そこで、栽培試験で選定した品種のうち増殖率の低い3品種(パシフィック・ピンク、 カメオ、アフター・グロウ)について組織培養による効率的な幼苗の増殖法、およびその順化と圃場での球根増殖について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 幼苗の増殖と順化
- 球根の茎頂を BA1mg/l 添加したMS培地(支持体:0.8%寒天)で培養すると、2ヶ月後には3本程度のシュートが形成される。これを個々に分割し、同じ組成の培地で培養すると1.5カ月後には再び4~5本程度のシュートが形成される。この操作を年7回、繰り返すことにより1個の茎頂から約49,000本(3本×47)のシュート増殖が試算できる。増殖したシュートはMS培地(支持体:0.3%ゲランガム、BA無添加)に移植すると約1カ月で発根し順化できる幼苗となる(表1~3)。
- 幼苗は、滅菌した培養土(バーミキュライト:パーライト=3:1)を詰めた育苗トレイに植えこみ、これをミリシールなどで通気可能にした大型の容器中で、約2週間順化すると圃場定植が可能な苗になる。
- 幼苗の球根形成
- 順化後の幼苗をマルチ被覆した圃場に4月~6月上旬(標高による)に定植すると約9割は活着し、掘上げ時には60gくらいの球根(母球)が得られる(表4)。
- この球根を保存後の翌春、圃場に定植し慣行栽培を行うと、掘上げ時にはカメオは母球肥大するとともに子球数が 4~6倍になり、パシフィック・ピンクの場合は子球形成もするが母球肥大が旺盛である。また、両品種とも2~6割の株で開花する(表5)。
- 培養個体の花の形態は、元株とほぼ同じで変異は認められない。
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成果の活用面・留意点 |
- 3品種とも種苗登録されていないので農家への配布を目的とした増殖に活用できる。また、この増殖法は他の品種にも応用が可能である。
- 増殖~順化の間の幼苗の歩留まりは約80%である。
- 苗の植え付け直後は土壌の乾燥をさける。
- 貯蔵の場合は掘上げた球根を自然乾燥(付着水除去)後、モミガラ燻炭中に保存する
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
育苗
カラー
乾燥
栽培技術
品種
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