タイトル |
キャベツ複合病害抵抗性新品種「つまみどり」 |
担当機関 |
群馬県園芸試験場 |
研究期間 |
1989~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
萎黄病抵抗性と黒腐病抵抗性を有し、在圃性が高く、大規模栽培が可能な高冷地の夏秋どりに適するキャベツの複合病害抵抗性F1品種`つまみどり'をカネコ種苗(株)と共同で育成した。
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背景・ねらい |
高冷地における夏秋キャベツ栽培では、特に秋期の黒腐病による被害が多発し、問題となっている。そこで群馬県とカネコ種苗(株)では、黒腐病と萎黄病に複合抵抗性を有し、裂球が遅く、大規模栽培に適する品種の育成を目指して共同研究を行い、F1品種`つまみどり'を育成した。
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成果の内容・特徴 |
- 育成経過
種子親は`黄葉サクセッション'×`富士早生'の後代で、1988年 (F2)に選抜を開始し、選抜目標は黒腐病に強い抵抗性を有し、外葉が小さく結球部が浮き上がるものとした。花粉親の育成には`いろどり(カネコ種苗)'の分離後代を用い、1987年(F2) から選抜を開始し、選抜目標は萎黄病にタイプA抵抗性を示し、黒腐病にも抵抗性を有するものとした。 1992年と1993年にF1組み合わせ能力検定を行い、本組み合わせを有望と認めた。この組み合わせについて、1994年と1995年の2年間にわたり現地適応性検定を実施したところ、育種目標を満たした好結果が得られたので、1996年に`つまみどり'と命名し、育成を完了した。
- `つまみどり'の特性
1)定植後75~80日で収穫できる中早生種である。 2)草姿は開帳性で、外葉はコンパクトなため、密植しても球揃いが良い(表3)。 3)裂球は比較的遅い。 4)球形は偏平で球が浮き出し、収穫や箱詰め等の作業性に優れる(表3)。 5)球色は緑色、球内色は淡黄色で、食味はサワータイプと寒玉の中間を示す。 6)萎黄病に完全抵抗性を有し、`麗峰1号'と同程度の黒腐病抵抗性を有する(表1、表2)。 7)高冷地の3月中旬~6月上旬播種、7月中旬~10月上旬収穫に適応する。
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成果の活用面・留意点 |
- 密植栽培が可能であるが、外葉がややコンパクトなため肥料切れすると球伸びが悪くなりやすい。必要に応じて追肥を行う。
- 低温結球性が劣るため、6月中旬播種では年によって結球不良のまま冬を迎えてしまう危険性があるため、秋遅い時期に収穫する作型を避けた栽培を行う。
- 裂球の程度は`麗峰1号'より遅く、在圃性はかなり高いため、収穫遅れによって老化球とならないよう注意する。
- 黒腐病の発生しやすい条件下では、予防的な防除を実施する。
- 本品種は1996年に品種登録を出願し、1998年から種子の販売を開始した。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
萎黄病
育種
キャベツ
栽培技術
新品種
抵抗性
播種
病害抵抗性
品種
防除
良食味
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