重窒素自然存在比法を用いたサトウキビおよびBrachiaria属牧草の窒素固定量の推定

タイトル 重窒素自然存在比法を用いたサトウキビおよびBrachiaria属牧草の窒素固定量の推定
担当機関 (独)農業技術研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 1999~2001
研究担当者 大脇良成
米山忠克
田中福代
藤原伸介
中村卓司(国際農研)
菅野勉(国際農研)
中西康博(東京農大)
発行年度 2001
要約 圃場における植物体内細菌(エンドファイト)による窒素固定量を、重窒素自然存在比法により推定できる。1作あたりの窒素固定量はBrachiaria属牧草で0.67~4.32kg 10a-1(窒素固定寄与率17~28%)、サトウキビで0.95~2.18 kg 10a-1(窒素固定寄与率28~58%)の範囲である。
キーワード エンドファイト、窒素固定、サトウキビ、Brachiaria属牧草、重窒素自然存在比
背景・ねらい 近年、農地への窒素肥料の多投による環境負荷が問題となっており、窒素負荷低減のための技術開発が求められている。熱帯地域で栽培されているある種のイネ科牧草やサトウキビなどは、低窒素投入量でも高い乾物生産を維持できることが知られている。近年これらの作物の中から、植物体内に生息する微生物(エンドファイト)による窒素固定が報告されている。しかしながら、これら共生微生物による窒素固定量を、圃場条件で測定する方法は確立されていない。そこで圃場で栽培されたサトウキビおよびBrachiaria属牧草について、重窒素自然存在比法により窒素固定量の推定を行った。
成果の内容・特徴 1.
同一圃場に窒素固定作物と非窒素固定作物を栽培し、植物体中の重窒素自然存在比(δ15N値)を測定することにより、次式より窒素固定寄与率を求めることができる。
また、窒素吸収量と窒素固定寄与率から、圃場における窒素固定量を推定することができる。
2.
ブラジルで栽培されたBrachiaria属牧草(熱帯イネ科牧草)の窒素固定寄与率は、17~28%の範囲であり、推定窒素固定量は0.67~4.32kg10a-1であった(表1)。これらの値は、窒素固定寄与率ではマメ科牧草(Stylosanthes guianensis)より低いものの、乾物生産量の多さから窒素固定量ではマメ科作物と同等の場合も認められた(表1)。
3.
沖縄宮古島で栽培されたサトウキビ4品種の窒素固定寄与率は、バイオマスの大きい茎の部位においては28~58%の範囲であり、地上部全体における推定窒素固定量は0.95~2.18kg10a-1であった(表2)。窒素肥料の施用は、窒素固定寄与率に対しては大きく影響しないが、乾物生産量を高めるため、窒素固定量を増大させる(表2)。
成果の活用面・留意点 1.
非窒素固定の対照作物は、ソルガム、キャッサバ、カボチャ等が用いられる。窒素固定作物と非窒素固定作物は、類似の生育特性と窒素吸収パターンを持つものが望ましい。
2.
重窒素自然存在比法による窒素固定量の推定は、対照作物の重窒素自然存在比が高いほど精度が高まる。
図表1 216758-1.gif
図表2 216758-2.gif
図表3 216758-3.gif
カテゴリ 肥料 かぼちゃ さとうきび ソルガム 品種

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