銅の含有量を低減した飼料によるトウキョウXの飼育

タイトル 銅の含有量を低減した飼料によるトウキョウXの飼育
担当機関 東京農総研
研究期間 2007~2007
研究担当者 浅海哲夫
岸本康彦
丸田里江
伊藤米人
発行年度 2008
要約 子豚期から肥育期までを通じて、飼料中の銅を日本飼養標準養分要求量近くまで低減してトウキョウXの飼育を行っても標準飼料給与に比して成育に悪影響はみられず、と体成績にも影響はない。
背景・ねらい 豚の飼料には下痢止めや成育促進のため多量の銅・亜鉛が添加されている。このため、豚の排せつ物中には銅・亜鉛が高濃度で含有されている。これらを農地に豚ふん堆肥等として施用し続けることにより、土壌中に銅、亜鉛が蓄積することが懸念されている。このことから、本試験では環境に優しい飼料を用いることで、都が生み出した銘柄豚トウキョウXのブランド力を強化することを目的として、子豚期から肥育期にかけて、日本飼養標準養分要求量近くまで銅濃度を低減した飼料を給与し、飼育試験を行う。
成果の内容・特徴
  1. 7~8週齢の子豚27頭に子豚期用の標準飼料(13頭)および銅低減飼料(14頭)を4週間給与する。さらに、これらの豚の内、5頭ずつについて引き続き出荷まで肥育期用の標準飼料および銅低減飼料を給与する。体重測定は毎週行う。糞は子豚期で1週間に1回、肥育期で1ヵ月に1回、採取・分析する。
  2. 標準飼料の銅濃度は、子豚期用では日本飼養標準養分要求量より約115ppm、肥育期用では約8ppm高い。銅低減飼料では銅の添加を行わないため、その銅濃度は子豚期用で標準飼料の約10%、肥育期用で標準飼料の約55%にまで低減される(表1)。
  3. 糞中の銅濃度は、低減飼料の給与により子豚期では標準飼料給与時の約15%、肥育期では約60%に低減する。低減飼料の給与により体内へのみかけの銅吸収量は、子豚期で標準飼料給与時の約80mgから約1mgに、肥育期で約10mgから約4mgにそれぞれ減少する(表2)。
  4. 子豚期においては、銅低減飼料の給与により、標準飼料給与に比べて飼養成績が大きく低下した。これは、試験の3週から4週にかけて下痢が発生し、体重増加が殆どみられなかったためである。しかし、肥育期では、日平均増体重も標準飼料給与を上まわり、試験終了時体重もほぼ標準飼料と同様となる(表3)。
  5. 出荷豚のと畜結果においても良好な結果を得られ、トウキョウX独自の格付けも標準飼料とともに良好である(表4)。
  6. 以上の結果から、トウキョウXに対して銅低減飼料を給与しても最終的な肥育成績には影響せず、糞の銅濃度が大きく減少することにより、豚ふん堆肥などの施用による土壌汚染を軽減することが期待できる。
成果の活用面・留意点
  1. 子豚期においては、子豚の成育への影響を考慮しつつ飼料中の銅、亜鉛添加量の適正化を図る必要がある。
  2. 今後、都内畜産農家で銅・亜鉛低減飼料給餌の実証試験を行い、その結果を畜産農家および飼料製造業者までに広げ、銅・亜鉛の農地への蓄積を抑制する必要がある。
図表1 218805-1.gif
図表2 218805-2.gif
図表3 218805-3.gif
図表4 218805-4.gif
カテゴリ 出荷調整 肉牛

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