タイトル | ホウレンソウの培養液中カリウム濃度変更による抗酸化活性の変化 |
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担当機関 | 近畿中国四国農業 |
研究期間 | 2000~2001 |
研究担当者 |
須賀有子 池田順一 福永亜矢子 堀兼明 |
発行年度 | 2001 |
要約 | ホウレンソウの湛液水耕栽培において収穫10日前に低カリウム濃度の培養液に変更すると、抗酸化成分であるアスコルビン酸含量と抗酸化活性は増加する。この時ホウレンソウのアスコルビン酸含量と抗酸化活性には正の相関が見られる。 |
キーワード | ホウレンソウ、水耕栽培、カリウム濃度、抗酸化活性、アスコルビン酸 |
背景・ねらい | 活性酸素やフリーラジカルは広範囲の疾病に関与しており、抗酸化物質による予防治療や健康維持への関心が高まっている。ホウレンソウに関する作物栄養条件と品質に関しての知見は多いが、抗酸化活性や抗酸化物質に着目した研究は少ない。また、野菜には多くの抗酸化物質が含まれるが、内容成分の変動と抗酸化活性との関係についての研究もほとんど行われていない。そこで、ホウレンソウを水耕栽培し、培養液のカリウム濃度が収穫物の抗酸化物質含量および抗酸化活性の変動、抗酸化物質と抗酸化活性の関係に及ぼす影響を調査する。 |
成果の内容・特徴 | 1. ホウレンソウの湛液水耕栽培において、収穫10日前に標準区のカリウム濃度を312ppmとしてカリウムのみ1/2および2倍濃度とした培養液に変更すると、カリウム濃度が低いほど抗酸化活性が増加する傾向が見られ(図1)、またアスコルビン酸含量(図2)も増加する傾向が見られる。 2. アスコルビン酸含量と抗酸化活性の間に正の相関(r=0.85)が認められる(図3)。 3. 収穫10日前に交換した場合、培養液のカリウム濃度1/2から2倍の範囲では生重、葉長などの生育量は影響を受けない(図4)。 4. 他の主要な抗酸化物質であるβカロテン含量とαトコフェロール含量にも変化は見られない(データ省略)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 培養液中のカリウム濃度を変更することによってホウレンソウの抗酸化活性が変動することが明らかになり、高機能性野菜生産のための基礎的資料となる。 2. 水耕栽培ホウレンソウにおいては、アスコルビン酸含量が抗酸化活性の主な変動要因であり、今後抗酸化活性を変動させる技術開発や、抗酸化物質の指標としてアスコルビン酸含量に着目することが考えられる。 3. ホウレンソウ品種はアクティブを使用する。14Lコンテナによる湛液水耕栽培を行い、収穫10日前に培養液を交換する。交換前および交換後の標準区は園試処方1単位の培養液とする。抗酸化物質として、アスコルビン酸、βカロテン、α-トコフェロール含量を測定する。抗酸化活性は評価法によっては結果が一致しない場合もあるため、βカロテン退色法およびDPPHラジカル消去能で評価する。DPPHラジカル消去能はDPPH溶液が50%退色する時のサンプル抽出液添加量(ml)と溶液全体量(ml)の比で示す。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 機能性 水耕栽培 低カリウム 評価法 品種 ほうれんそう |