春肥に適した被覆肥料を利用した施肥方法

タイトル 春肥に適した被覆肥料を利用した施肥方法
担当機関 京都茶研
研究期間 1998~2001
研究担当者 上辻久利
神田真帆
浅井信一
藤原敏郎
発行年度 2001
要約 春期の低温条件下でも溶出する被覆肥料∑を1月中旬に施用すると、2月中旬頃から窒素成分が溶出し、一番茶新芽に対する肥効が確保できることから、年間窒素施用量を煎茶で76→60kg/10a、玉露・てん茶で120→75kg/10aまで削減しても、品質、収量は維持、向上する。
キーワード 施肥適正化、被覆肥料、溶出予測、低温条件で溶出
背景・ねらい 収量、品質を現状維持しつつ茶園の施肥を適正化するために、被覆肥料を利用することが有効である。そこで、春期の低温条件下でも溶出し、一番茶新芽生育期に肥効が期待できる被覆肥料を利用した施肥体系を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 春期に被覆肥料∑(2.5ヶ月タイプ)を茶園土壌中に埋設し、その窒素溶出率と地温から反応速度論による溶出パラメータを求めると、被覆肥料∑は他の被覆肥料(70日タイプ)よりも活性化エネルギー(Ea1 、Ea2 )が小さく、溶出が地温の影響を受けにくい特徴がある(図1)。
  2. 被覆肥料∑の溶出パラメータを反応速度論による溶出・無機化予測に組み込み溶出を予測すると、春先の低温条件下でも溶出が認められ、一番茶に対する春肥としての肥効が期待できる。また、施肥時期としては、根が動き出す2月中旬頃に窒素成分の溶出を確保するために、1月中旬が適正である(図2)。
  3. 表1のような施肥設計で実証試験を行うと、実証区の土壌中の無機態窒素量は、一番茶新芽の生育、品質にとって重要な2月中旬以降急激に増加し、3月には慣行区より多くなる(図3)。また、実証区の生葉収量、製茶品質、全窒素含量及び遊離アミノ酸含量についても、慣行区と同等かそれ以上で、窒素施用量を減らしたことによる収量、品質への影響は認められず、むしろ向上する(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 被覆肥料を利用して年間窒素施用量を減らす場合、春先の低温条件下での肥効を確保するために、被覆肥料∑を春肥の被覆肥料として利用する。
  2. 被覆肥料∑を連用するとpHが低下する傾向があるので、夏肥、秋肥には他の被覆肥料を用いる。
図表1 219259-1.jpg
図表2 219259-2.jpg
図表3 219259-3.jpg
図表4 219259-4.jpg
図表5 219259-5.jpg
図表6 219259-6.jpg
カテゴリ 肥料 施肥 てん茶

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