タイトル | ハエによるスミレ類根腐病菌の媒介 |
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担当機関 | 奈良県農業技術センター |
研究期間 | 2001~2002 |
研究担当者 |
西崎仁博 藤井祐子 藤田圭二 堀本圭一 |
発行年度 | 2002 |
要約 | スミレ類根腐病菌(Thielaviopsis basicola Ferraris )はミギワバエ科に属するScatella stagnalis により媒介される。 |
キーワード | スミレ類根腐病、ハエ、媒介 |
背景・ねらい | スミレ類根腐病が発生している鉢花農家の育苗ハウスでは、しばしばハエの発生が観察される。本病原菌はハウス土壌やプラグトレイで残存し、潅水等の水により周辺へ拡大するが、ハエによる病原菌媒介の可能性を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 鉢花農家の育苗ハウスで発生しているハエは、体長約1mmの小型のミギワバエ科に属するScatella stagnalis である(図1)。 2. 鉢花農家ハウスから採取されるハエ成虫の糞から、PPIN培地(三木・原ら,1993)により根腐病菌が分離される。 3. 根腐病発病パンジー(品種:リーガルレッド)で飼育したハエ成虫の糞を顕微鏡観察すると、その中に根腐病菌の厚膜胞子が観察される(図2)。 4. 根腐病多発パンジーで飼育したハエの体からは病原菌は分離されないが、65%のハエの糞から病原菌が分離される(表1)。 5. PSA培地で培養した各種病原菌を飼育箱に入れ、ハエを放飼すると、ハエは根腐病菌に誘引される(図3)。 6. 無病のパンジーを飼育箱に入れ、根腐病発病パンジーで飼育したハエを放飼すると、約1ヶ月後に病徴が再現され根から根腐病菌が分離されることから、本病はハエにより媒介される。 |
成果の活用面・留意点 | 1. スミレ類根腐病の防除には、ハウス内の圃場衛生ばかりでなく、ハウス周辺の発病残さ処理も必要である。 2. このハエは多湿条件を好むため、多潅水は避け、またハウス内外に水たまりを作らなよう排水に努める。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 育苗 すみれ 根腐病 パンジー 品種 防除 |