黒大豆連作に伴う生産性及び土壌の性状変化

タイトル 黒大豆連作に伴う生産性及び土壌の性状変化
担当機関 京都農総研
研究期間 1998~2003
研究担当者 吉川正巳
松本静治
須賀有子(近中四農研センター)
池田順一(近中四農研センター)
発行年度 2003
要約 黒大豆の連作により収量の低下は認められないが、4年目以降には子実が小粒化し、根粒着生も減少する。連作により土壌の理化学性及び土壌中の根粒菌密度に大きな変化は認められないが、土壌細菌相の多様性は低下する。
キーワード 黒大豆、連作、根粒菌、土壌細菌相、多様性
背景・ねらい 京都府内の黒大豆栽培圃場では、生産性の低下が問題となっている。また、近年の転作面積の増加に伴い連作を余儀なくされているが、連作と生産性低下との関連は明らかにされていない。そこで、連作による生産性の推移を調査し、土壌の理化学性及び生物性の変化を明らかにすることにより、黒大豆の生産性を維持・向上させる土壌管理技術開発のための基礎的な知見を得る。
成果の内容・特徴
  1. 黒大豆(新丹波黒)を5年間連作すると土壌の孔隙率、陽イオン交換容量(CEC)はやや低下するが、全炭素、全窒素(以上、図1)、pH、交換性陽イオン等(データ省略)には低下傾向は認められない。また、作付け前に有機物(牛ふんバーク堆肥、3t/10a)を毎年施用することにより、これらの低下傾向は緩和される(図1)。
  2. 3作目までは黒大豆の子実収量(精子実重)は増加し、有機物施用による増収効果も認められるが、4作目以降は収量は横ばいとなり、子実の肥大程度を表す2L率(粒径9.7mm以上)は有機物施用の有無に関わらず急激に低下する。また、根粒着生(黒大豆1株あたりの根粒重)は、有機物の施用により増加するが、4作目以降は減少する(図2)
  3. 5作経過した圃場(有機物5年連用)及び隣接する非連作圃場(前作水稲)の土壌中根粒菌密度を植物感染-MPN法(最確値法、浅沼;1992の方法を改変、図3)により計測すると、両者に差は認められない(図4)。
  4. 3.と同じ土壌サンプルからDNAを直接抽出後、16SrDNA増幅用プライマーを用いてPCR増幅を行い、得られたPCR産物を変成剤濃度勾配ゲルで電気泳動(PCR-DGGE法、須賀ら;平成14年度近畿中国四国農業研究成果情報)すると、それぞれのバンドパターンは異なり、連作圃場では多様性指数(Shannon-Wiener法)は低下する(図4)。

成果の活用面・留意点
  1. 灰色低地土の水田転換畑で得られた結果である。
  2. 水田・黒大豆田畑輪換体系の作付け計画のための基礎資料となる。

図表1 219621-1.jpg
図表2 219621-2.jpg
図表3 219621-3.jpg
図表4 219621-4.jpg
カテゴリ 水田 大豆 土壌管理技術

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